石垣島の星の祭典「南の島の星まつり2019」(主催・同実行委員会)で4日午後、世界初のブラックホール撮影に成功した国際プロジェクトで日本チーム代表を務めた本間希樹(まれき)国立天文台教授が市立図書館で記念講演した。本間教授は「(成果は)石垣の方々、地元のサポートがあったおかげ。石垣は星をブランドとして観光に生かしていて、星やその研究などへの理解度は日本でもピカイチだと思う」と感謝した。
講演は「石垣島発、天の川経由、ブラックホール行き~ブラックホール撮影までの道のり~」と題してVERA石垣島観測局での天の川研究や、4月10日に発表された巨大ブラックホール撮影について解説した。
VERAは銀河系の3次元立体地図を作るプロジェクトで、03年から観測が開始。水沢(岩手)、入来(鹿児島)、小笠原(東京)、石垣島の4つの観測局をもち、石垣では02年5月に完成した。
石垣観測局の建設担当者の1人だった本間氏は「VERAで培った経験があったからこそ世界で認められた。長い間築いてきた石垣島の皆様からのサポートのおかげ」と何度も感謝した。
今回撮影できたことの意義として▽ブラックホールの存在を視覚的に示すという物理学的意義▽銀河の中心に巨大ブラックホールという天体があることを確実にした天文学的意義―を挙げた。
今後の課題としてガスがブラックホール近傍から放射される「ジェット」という現象とブラックホールの関係性などを指摘し、「男の子からの『ブラックホールは回転しているのか』という質問はすごく本質的。ジェットの根本を見極めると回転のことが分かるとされる」と話した。
「回転」について質問した大浜小学校の小林みりさん(10)と弟の幾斗君(9)は「初めて撮影に成功した本人と会えてうれしい」「巨大ブラックホールって、すごい」と興奮冷めやらぬ様子で話した。