また大型の台風が先島諸島に襲来する。地元住民はうんざりするほど経験してきた事態だが、こればかりは惰性で対応できない。緊張感をもって備えなくてはならない◆大型スーパーは食料品を備蓄しようとする人たちで混雑しており、特に観光客が多いようだ。早くも空っぽの商品陳列棚が目立つ。本島や本土との交通路が遮断されると、離島はたちまち生活物資が尽きる。豊かな日常生活は、平和な空や海が前提であることを改めて実感させられる◆しかし実際には、日本周辺の空も海も到底、平穏無事とは言えない。東シナ海や日本海上空では中国軍機の活動が活発化し、航空自衛隊が那覇などから、ひっきりなしにスクランブル(緊急発進)を繰り返している。最近は韓国が実効支配する島根県・竹島周辺で、ロシアの領空侵犯も起きた◆八重山の尖閣諸島周辺では、中国公船「海警」がほぼ常駐状態で、海上保安庁の巡視船と対峙。台風が接近すると「海警」はさっさと避難してしまうが、巡視船はギリギリまで周辺海域にとどまり、警備の任務を続けるという◆日本人の何不自由ない毎日は、空、海のこうした「番人」がいてこそ成り立っている。ましてや離島は、最前線で国境を守る人たちの労苦なくして、暮らしを維持できない。