石垣島への陸上自衛隊配備計画を巡り、石垣市民らが住民投票で賛否を問うよう市に求めた訴訟の第1回口頭弁論が19日、那覇地裁(平山馨裁判長)で開かれ、市は「実施の義務はない」として請求棄却を求めた。原告で市住民投票を求める会の金城龍太郎代表(29)は「今回の請求が市の判断で消滅させられると、行政の意見にそぐわない意見は排除できる社会を許すことになる」と意見陳述した。
市自治基本条例は、有権者の4分の1以上の署名で住民投票を請求でき、市長は実施しなければならないと規定。市民グループは配備の説明や議論が不十分として、4分の1を超える1万4千筆余りの署名を集め、地方自治法の規定に基づいて中山義隆市長に住民投票条例の制定を請求したが、市議会で否決された。
市は、同会の請求が自治基本条例ではなく、地方自治法の手続きで行われたことを指摘。仮に自治基本条例に基づく請求であっても「住民投票条例が存在せず実施は不可能」と反論した。
裁判では、自治基本条例の解釈が争点になるとみられる。金城代表は「市に住民投票の実施義務があるのか、司法の判断を仰ぎたい」と求めた。
原告側代理人によると当初50人の市民で提訴し、その後一部が取り下げるなどして現在の原告数は30人。訴訟では「議会で否決されても市長は実施義務を負う」と主張し、住民投票の実施義務付けを求めている。
第2回口頭弁論は12月24日午後1時過ぎから行われる。