2018年度に沖縄を訪れた観光客数は1000万4300人で、初めて1千万人台の大台に乗った。当初、県は999万人台と発表していたが、集計ミスが発覚し、当初の発表から半年以上も経って修正した数字を明らかにした。
沖縄の観光産業にとって歴史的な節目になるはずだったが、何とも気まずい。首里城の焼失もあり、とても祝賀ムードが盛り上がる状況ではないだろう。
だが実際、観光客数の増加に浮かれている場合ではないのも事実だ。1千万人台の達成を契機に、沖縄観光のグレードアップに向けた取り組みが急務だからだ。
27日に石垣市で開かれた沖縄振興金融公庫のフォーラムで、日本総合研究所研究員の藻谷浩介氏が沖縄観光などをテーマに講演した。「外国人観光客はこのまま増え続ける。今後は単価が高い滞在客の誘致にシフトする時期に来ている」と提言した。八重山の多くの観光関係者が指摘している問題意識と共通した発言である。
沖縄本島にせよ八重山にせよ、観光客数を押し上げているのは中国、台湾などからクルーズ船で訪れる観光客が中心で、駆け足のように観光名所やショッピングセンターを回っていく。
しかし、ゆっくりと日数をかけてホテルに宿泊し、さまざまな観光名所を巡りながら消費を重ねる観光客のほうが、一人当たりの観光消費額は高くなると言われる。
中国人観光客の「爆買い」も、かつてほど話題にはならなくなった。ここにきて、滞在日数の長い観光客として、欧米からの来訪者が注目されている。