制限速度、9割以上守らず ヤマネコ事故死で対策会議 関係機関が警鐘

 2019年度イリオモテヤマネコ交通事故発生防止に関する連絡会議が28日午前、竹富町役場2階ホールで開かれた。今年度のイリオモテヤマネコの事故発生件数は28日現在で3件、全て死亡が確認されている。発生場所は西表島北岸から東部にかけてで、西部地域で発生していた昨年とは異なる。

 環境省西表自然保護官事務所は現状として、住民と観光客の速度超過運転やヤマネコの道路侵入、道路際の草本繁茂による見通しの悪化などを指摘。
 それぞれの対策として▽速度警報装置効果検証等調査▽移動式簡易柵検討業務▽草刈り体制構築―を提示した。
 NPO法人トラ・ゾウ保護基金西表島支部やまねこパトロールの高山雄介事務局長は2018年度の交通事故調査データから浦内から中野付近での定点調査(計測数125台)を提示し、「制限速度30㌔なのにレンタカーでは100%、自家用車・営業車では90%以上が守っていない」と強調。「10台に1台は20㌔超過という状況で、人身事故の発生も危ぶまれる」と警鐘を鳴らした。
 西表大原ヤマネコ研究所の岡村麻生さんは、西表島でのヤマネコ交通事故地点と目撃多発地点のデータを照合した図を提示。
 「交通事故危険カ所が数㍍から数十㍍の範囲で重なる地点が22カ所ある。事故後、アンダーパスやゼブラゾーンなどで環境整備をした場所では事故がなくなってきている」と対応を呼び掛けた。
 八重山警察署の担当者は「制限速度内でもカーブではよけきれない。カーブに防止柵を設置するなど、道路環境整備が一番」と述べた。
 このほか「運転手や見た人にも効果があるように、文章で『ヤマネコのためにスピードを下げてます』という大きめのステッカーを作ってはどうか」という提案もあった。
 記録のある1978年から2019年11月までの交通事故記録を見ると、11月から1月の冬場に事故が発生する傾向があり、繁殖期と上原港欠航による交通量の増加などが理由と見られる。事故発生の時間帯は午後6時から午後11時の間に全体の67%が集中し、午後8時台に最も発生件数が多い。

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