石垣市議会の平良秀之議長ら議員団は15日、環境省や外務省などを訪れ、尖閣諸島への上陸調査や施設整備などを要請した。小泉進次郎環境相は、11月に人工衛星を活用した動植物の環境調査に着手する方針を表明した。議員団は茂木敏充外相、小此木八郎領土問題担当相にも面会した。
平良議長によると小泉環境相は、尖閣諸島で新たな植生図の作成を始める方針を説明。現在の植生図は2015年に作成されたが、新たな植生図の作成作業には、人工衛星で取得する最新のデータを使用する。
11月から着手し、半年ほどかけて衛星画像を解析する。新たな植生図は来年度の早い時期に完成する見込み。
植生図の作成作業の中で絶滅危惧種アホウドリの生態調査も実施し、営巣状況を確認する。調査が円滑に進めば、魚釣島に食用として持ち込まれ、島内で繁殖しているヤギの生態調査にも応用できる可能性がある。
平良議長によると茂木外相は、尖閣諸島周辺海域で中国公船が領海侵入を繰り返している問題について「毅然かつ冷静に対応する」などと強調した。
各大臣からは尖閣諸島への上陸調査や施設整備に対する前向きな回答はなかった。
議員団は海上保安庁の奥島高広長官とも面会し、海保の巡視船が日夜、尖閣警備に当たっていることに感謝の意を伝えた。海保が新型コロナウイルス感染者の搬送に協力したことにも言及した。議員団には西銘恒三郎衆院議員が同席した。
要請後、平良議長は「どの大臣にも、現場の声を大切に受け止めてもらった。漁民が厳しい環境で漁をしている現状を直接伝えることができた」と強調。小泉氏が打ち出した方針について「環境省が尖閣諸島の環境調査に踏み出すことは、大きな一歩として評価したい」と述べた。
尖閣諸島への上陸調査や施設整備を求める決議は市議会9月定例会で可決されていた。議員団は平良議長ら6人。野党は新型コロナウイルスの感染拡大を理由に参加しなかった。
14日には山口英彰水産庁長官にも面会していた。16日には加藤勝信官房長官、国交省の鳩山二郎政務官と面会する。