無料通信アプリLINE(ライン)利用者の個人情報が中国で閲覧可能な状態となっていた問題が浮上したが、ラインを申請手続きに活用する「サイバー窓口」を6月に導入する予定の石垣市は「個人情報の流出はない」として計画を続行する方針だ。だが政府や他の自治体の動向次第では「6月導入のスケジュールが流動的になることは有り得る」(市総務課情報システム係)としており、事態を注視する構えだ。
「サイバー窓口」では利用者がラインの機能を活用し、スマホで事前に住民異動などの申請事項をQRコードで暗号化する。利用者が窓口でQRコードを提示すると、瞬時に手続きが完了する。
同係の担当者は「QRコードで暗号化する際は、ラインのネットワークは使用しない。暗号化した時点で個人情報も破棄される」としている。
市によると、このシステムはラインとは別の業者が開発しており、相互に情報の連携はしていない。個人情報保護は確保されているため、基本的に、今回の問題がサイバー窓口導入計画に影響することはないという。ただ導入時期は「国の動向を見つつ、適切な時期を見極める」としている。
市は現在、広報ツールとしてもラインを使用しているが「個人情報は取得せず、公開情報を発信しているだけ。市のラインに登録していても、個人情報がライン側のサーバーから覗き見られることはない」(同係)として運用を継続する考え。
総務省は全国の自治体に対し、26日を期限にラインの利用状況を報告するよう求めており、市はこうした状況を国側に伝えた。
一方、ラインを活用し「サイバー窓口」と類似したシステムを導入している千葉県市川市の場合、石垣市と異なり、本人確認のため免許証やマイナンバーカードの写真を添付して送信させ、来庁せずに申請を完了できる仕組み。このため「個人情報保護の安全性が担保されていない」としてサービスを停止した。