【視点】強盗と異ならない中国の論理

 中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報(電子版)は、菅首相とバイデン大統領の日米首脳会談に関し「中国を封じ込める米国の戦略に日本が加わり、中日関係は改善の勢いを失った」とする社説を発表した。尖閣諸島を巡る自らの挑発行為は、日米によって引き起こされたと言いたいのだろう。
 自分が意図的に尖閣情勢を悪化させておきながら、日米に責任を転嫁するのは中国の常套(じょうとう)手段である。独りよがりの論理で自国の侵略的行為を正当化し、対立をエスカレートさせる姿勢は、とても責任ある大国の姿とは言えない。
 とりわけ中国の侵略的行為の矢面に立たされている八重山の住民から見れば、中国の行為は強盗と異ならない。
 石垣市議会は、尖閣を行政区域とする議会として市民の声を代表し、尖閣に関してたびたび中国に抗議決議しているが、中国は一貫して無視している。元凶は平和を願う島民の心情に無理解な中国共産党政権そのものと考えざるを得ない。
 尖閣諸島が中国に奪取されば、八重山のわずか百数十㌔先に独裁的な軍事超大国の勢力圏が誕生し、住民は子々孫々まで平穏な生活を脅かされる。単なる無人島の争奪戦くらいに軽く見ていい話ではないだろう。
 台湾有事が起きても同じことであり、県民が「自分ごと」として尖閣や台湾の問題を考えるべき時期に来ている。県民の民意として石垣島への陸上自衛隊配備を急ぎ、海上保安庁による領海警備体制も強化すべきだ。
 残念ながら、八重山から400㌔離れた沖縄本島では常に米軍基地問題の話題が先行し、尖閣問題への無関心が甚だしい。
 尖閣海域では、出漁した日本漁船が中国海警局船に追尾される事態が常態化している。しかし沖縄本島からは、出漁する八重山、宮古の漁船が故意に対立を煽っていると非難する声さえ聞こえる。
 県民自身が中国の術中にはまり、尖閣に出漁する日本漁船は「偽装漁船」(中国の王毅外相)とする宣伝に踊らされているようでは、尖閣を守ることは覚束ない。

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