自治基本条例改正を可決 「住民投票」「最高規範」削除 石垣市

自治基本条例の改正に起立して賛成する与党(右側)と反対する野党=28日午後、石垣市議会

 石垣市議会(平良秀之議長)は6月定例会最終日の28日、議員提案の自治基本条例改正案を与党の賛成多数で可決した。住民投票の規定や、同条例を最高規範と位置付ける規定を削除する内容。同条例が2010年4月に施行されて以来の抜本的改正になる。与党は「条例制定から11年が経過し、その間にさまざまな批判や疑問が出ている」(提案者の友寄永三氏)と指摘した。野党は反対した。

 改正内容は➀「市民」の定義を「市内に住所を有する人」に改める➁住民投票に関する規定を削除する➂自らを「市政運営の最高規範」と位置付ける規定を削除する―の3点。
 市の諮問を受け、有識者や公募市民などで条例見直し作業を進めた自治基本条例審議会も、3月の答申で、この3点を問題点に挙げた。改正は答申にほぼ沿った内容になっている。
 現行条例は住民投票制度に関し、有権者の4分の1以上の署名で請求があった場合は、市長は「住民投票を実施しなければならない」と定める。石垣島への陸上自衛隊配備計画を巡り、市民団体がこの規定を根拠に住民投票実施を求めて市と係争中で、野党からは条例改正に対し「住民投票つぶし」と反発の声が出ていた。
 友寄氏はこの日の本会議で、同条例がなくても、市民は地方自治法の規定により、50分の1以上の署名で住民投票条例の制定を請求できると説明。「(現行条例より地方自治法の規定のほうが)数段、住民投票がやりやすい」と述べ、改正は市民が住民投票を求める権利を奪うものではないとの認識を示した。
 同条例の住民投票の規定が不備で、野党からも「欠陥条例」との声が出ていることも挙げた。
 「最高規範」の規定については「一般の人は最高規範は憲法だと認識している。(条例が最高規範だというのは)市民には全く意味が分からない」と疑問視。「市民」の定義見直しも、多くの自治体の一般的な認識に沿ったものだとした。
 野党は改正に猛反発。平良議長の不信任案提出などで抵抗した。
 採決では与党の10人が賛成、野党の8人が反対した。公明の石垣達也氏と未来の箕底用一氏が退席した。
 中山義隆市長は条例改正について、閉会後、報道陣の取材に「審議会の答申内容に沿っているので、大きな問題はない」と容認する考えを示した。

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