コロナ終息 島の神に祈願 神司の與那國光子さん 竹富島

コンドイ浜で神衣装の與那國光子さん(提供写真)

海水浴を楽しむ観光客でにぎわう夏休みのコンドイ浜。その側でニライカナイの神に新型コロナウイルスの終息を願って祈り続ける神司の姿があった。竹富島在住で久間原御嶽(クマバラオン)神司の與那國光子さん(73)だ。話を聞いた。
―なぜコンドイ浜で祈っているのですか。
「海は世界とつながっているからです。世界で新型コロナの感染が拡大している中、私は常に終息を願い、言葉に出して祈っています」
「集落の入り口にあるスンマシャーを通る時も、これまで守ってくれてありがとうと、そしてこれからも集落に悪いものが入らないようにと、言葉に出して祈ります。言霊といって、言葉で伝えることが大切。神様にありがとうと伝えた途端にゆがふ雨が降ったり、不思議な話はたくさんあります」
「ワクチン接種はもちろん大事だけれど、神様に気持ちを伝えることも大事です。夏休み前には、コンドイ浜で子どもたちと一緒に願うこともしました。竹富島は神の島とよばれ、島の子どもはカンヌファ(神の子)と呼ばれています。私たち神司は1年を通じて、神様にいい報告ができるように祈ることが役割です」
―祭事の縮小や中止がコロナ禍で続いています。
「昨年は島最大の祭り、種子取祭の奉納芸能が中止になり、首里城火災の時もそうでしたが、神様が悲しんでいるのがわかり、涙が止まりませんでした。神司は神様と人との繋がりの祈りをします。見えないけど感じとることはできます」
「私は小学生の時から神司にならないといけないとわかっていたので、50歳の時に久間原御嶽の神司になりました。久間原御嶽は山の神様。複合施設建設のために木を切る時には、貝を49個供えるなど、古式ゆかしい方法で祈願しました」
「竹富島の神様は、実際にいた島の人、島の偉人です。宗教というよりは、島の文化そのもの。だから、農業の島から観光の島に変わっても、感謝の気持ちで祈ります」
「お供えにも、もやしには若返り、長命草は長生き、パパイアは子孫繁栄、海藻は丈夫な力強さなど、それぞれに意味があります」
「今年の豊年祭は台風の影響で10日延期になりました。これは干支を大切にしたからです。種子取祭も、干支。ずっと干支でやってきたことを、例えば人間の都合で土曜、日曜日開催に変えるようなことは、いいことではありません」
「これからも、悪いものが島に入らないように、いいものは万里先からも入りますようにと祈り続けます。観光客にも、いい思いで島に入り、いい思いで帰れるようにと。ありがとうと言えばありがとうと返ってきます。それをこれからも続けていきたいと思います」
(聞き手、隅田賢通信員)

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