一般社団法人日本沖縄政策研究フォーラム(仲村覚理事長)は21日、沖縄や台湾の安全保障をテーマにした講演会を大浜信泉記念館で開いた。元在沖米海兵隊政務外交部次長で政治学博士のロバート・D・エルドリッヂ氏は、石垣市の尖閣諸島が日米安保条約の適用範囲内であることを繰り返し米国に確認する日本政府の姿勢を批判した。
米国に尖閣諸島の防衛義務があることに関しては、沖縄返還前の1971年、米政府が議会で証言していると指摘。「日本政府は確認する必要はない。毎回聞くのは逆効果だ」と述べた。
米大統領選で当選を確実にしたバイデン氏と菅義偉首相の最初の電話会談でも、両者は尖閣諸島に日米安保条約が適用されることを確認した。エルドリッヂ氏は「若者が恋人に会うたび『好きですか』と確認するようなもので、これを国がやるのは本当に恥ずかしい。国際社会から、日米関係はそこまで信頼関係がないのかと思われる」と疑問視した。
日本政府に対し、尖閣諸島の実効支配強化に取り組むよう要望。東京都が尖閣諸島を購入しようとした際に寄せられた寄付金を原資に、石垣市に資料館を建設すべきと提言した。「尖閣を取られたら、簡単に基地化され、日本全体が危なくなる。南シナ海のような状況が東シナ海で発生する」と危惧した。
仲村理事長は「台湾有事は事実上、沖縄有事、日本有事だ」と強調。中国から台湾を防衛する「台湾関係法」制定の必要性を沖縄から発信するよう訴えた。
その上で「最低限の国防装備は、相手の侵略する意思をくじくこと。日本が本気になって尖閣を守れば、人民解放軍でも奪うのは無理だと思わせない限り(尖閣問題は)解決しない」と述べた。