石垣市が来年度、クリーンセンター(ごみ焼却施設、平得)の基幹改良工事に着手するに当たり、現施設が将来的に老朽化した際には、現在の地域から移転させる方向で地域住民と合意したことが分かった。移転方針などを盛り込んだ新たな「公害防止協定」を施設周辺の公民館などと締結する方針。現施設は既に老朽化しているが、基幹改良工事で約20年の延命化が見込まれる。地域住民は延命化を容認する見返りに、優先的な地域振興策を求めている。
クリーンセンターは1997年に供用開始した。市は前年、周辺の名蔵公民館、嵩田公民館、バラビドー集落会と公害防止協定書を締結。プラスチックごみを焼却しないことや、現地での建て替えをしないことなどを定めた。
しかし、市は基幹改良工事後に廃プラを焼却処理する方針に変更、各地域に新たな協定の締結を要請した。地域住民は将来的に別の地域で建て替えを行うよう再度求め、4者がまとめた新協定書案では「令和元年度の計画で、使用期限は最長で令和29年度(2047年度)まで」としている。
市は25日夜、基幹改良工事の説明会を名蔵公民館で開き、地域住民など約20人が参加した。
新協定を巡って嵩田公民館の参加者は「地域からインフラ整備、地域振興策などの要望があった場合、率先して要望解決に努める」との文言を協定に盛り込むよう要望。「負担を抱えている地域に対し、行政がやらなくてはならないことがあるはずだ。行政の責任を明確化すべきだ」と迫った。
大城智一朗環境課長は「公害防止協定にそれを盛り込むことは非常に難しい」と述べたが、地域の要望にどこまで添えるか検討する考えを示した。
新協定が締結された場合、25年度から廃プラ類の焼却を開始するスケジュールも説明。参加者からは「地域としては、石垣市に約束をほごにされたという感覚がある」と市の対応を疑問視する声が上がった。
基幹改良工事の事業費は約55億円を見込んでおり、石垣島への自衛隊配備に伴う防衛省の民生安定施設助成事業を活用。市の支出額は約18億4000万円で、環境省の補助事業を導入する場合に比べ、約9億円の削減になるという。
大城課長は「防衛予算を使うことは住民に面と向かって説明しておらず、大変配慮が欠けていた。深くお詫び申し上げる」と陳謝。平得大俣地区での陸自配備反対を決議している嵩田公民館の参加者からは「廃プラの焼却は公民館の了承を得ていたが、防衛予算の問題で事情が変わった」と反発する声が出た。