石垣市はコミュニケーションアプリ「LINE(ライン)」を活用した市民への情報発信に力を入れている。年内には各種申請手続きや道路破損などの通報が可能になる新たなシステムを導入し、いつでも「スマホに市役所」があるデジタルファーストのまちを目指す。
2013年に導入した石垣市の公式ラインは、8日時点で登録者数2万9618人(ブロック数3267人)島外在住者を含むが、人口4万9702人(今年7月時点)の約半数が、ラインを通じてさまざまな情報を受け取っている。
市では登録者に対して、新型コロナウイルス感染症関連や災害など、ホームページ上で掲載している重要な知らせを、問い合わせ先とあわせて配信。ユーザーは日常的に使用するラインで、緊急性のある情報を素早く収集し、市では問い合わせ対応などの業務負担軽減につながる。
市によると、登録者数は導入から数カ月で約1万人を超え、災害情報などを配信し始めてからはさらに伸びた。
企画政策課の棚原輝幸係長は「石垣市民はアプリやSNSの利用に関心が高い傾向にある。これまで身近ではなかった行政情報に気軽にアクセスしてもらえるようになった」と分析。
同アプリを運営するライン㈱(本社東京都、出澤剛代表取締役社長)の広報担当者は「運営は各市町村や団体に任せているので具体的な数字は出せないが、石垣市の人口に対する登録者数は多いと言える。ブロック数が3000人というのもかなり少ない」と述べた。
市は今年7月から、居住地や職業、子どもの有無を選択して必要な情報を受け取る「受信設定」システムをを新たに追加し、個々に合ったより細かな情報を配信している。同設定はいつでも変更可能。
棚原係長は「次のステップは、各種手続きや問い合わせをラインから受け付け可能にし、スマホでいつでも市役所を持ち歩けるような『サイバー窓口』を目指す」と強調。
年内には、ワクチン接種などの各証明書発行手続きやゴミ出し情報、道路損傷の通報ができるシステムを新たに導入予定という。
セキュリティについて棚原係長は「ホームページに掲載済みの情報を発信するので、個人情報が流出することはない」と説明した。
市民がライン上で入力した情報も、一時的な保存期間が経つと削除される仕組みになっているという。
国内のライン月間利用者数は約8600万人(2020年9月末時点)とされる。性別や職業、年齢を問わず幅広い人に利用されている。