秋の叙勲 八重山から2氏

 政府は3日付で、秋の叙勲の受章者を発表した。八重山地区からは現保護司の谷口隆信氏(72)=石垣市大川=が更生保護功労、元公立中学校長の村田栄正氏(84)=石垣市石垣=が教育功労で瑞宝双光章を受章する。県内の受章者は40人。

更生保護功労・瑞宝双光章 谷口隆信氏(72)

 石垣市大川の浄土真宗本願寺派誓願寺の一代目住職。今年で41年目の現役保護司でもある。
 石垣小、同中出身。沖縄本島の電気専門学校を卒業後、19歳で島を離れ大阪の企業で3年務めた。
 その後、法政大学短期大学部に入学。在学中に父親を亡くし、僧侶に励まされたことで仏教に関心を持つ。東京仏教学院でも学びを深め、1979年に本寺を建てた。
 「当時は非行に走る子どもが多く、その原因は大人との交流不足にあると感じた。親子で参加する盆踊り大会や日曜学校の実施に取り組んだ」。
 保護観察中の子どもがいる家に法衣に身を包んで訪問するため、保護司だと思う人は少ない。子どもたちも心を開いてくれる。
 現在は、未成年の深夜徘徊等を図る「社会を明るくする運動」に参加するなど、子どもたちが非行に走らない環境作りに取り組む。
 受章を受けて「素直にうれしい。できる限り現役で活動し、ひとりでも多くの子どもが幸せになれる手伝いがしたい」と喜びと抱負を語った。
 1949年8月10日生まれ。石垣市大川出身。

教育功労・瑞宝双光章 村田栄正氏(84)

 石垣小、同中出身。八重山高校を卒業してすぐ、黒島中の助教諭として勤務。戦後間もない当時は、子どもに対して教える大人の数が少なかった。働きながら日本大学の通信教育学部で教員免許を取得。レポートでやり取りし、夏休みは大学に出向いて研修を受けた。
 1961年、教諭として初めて川平中で勤務。専門は幼いころから興味があった社会科。
 石垣第二中で生徒指導を担当した時は苦労した。問題を起こす生徒がいれば夜中でも学校に呼び出された。今では「先生がいたからまともな大人になれた」と声をかけてくる教え子も多い。
 1990年、竹富小・中の校長に就任。創立100周年の記念事業は印象深い。多くの父兄や地域住民に支えられた。
 教育委員会から推薦の電話が来た時は「僕でいいのか」と驚いた。「地域の社会教育に携わったこと、退職してから文化協会で活動したことが認められてたのではないか」。
 今後は、薄れゆく八重山の方言を守る活動がしたい。趣味は畑での野菜栽培や三線を弾くこと。
 1937年1月24日生まれ。石垣市石垣出身。 

 

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