石垣市が新婚世帯の引っ越し費用などを補助する「結婚新生活支援事業補助金」は市民に好評で、今年度の申請数が予算の上限に達したため、市は受け付けを停止した。来年度も事業を継続し、補助金支給を再開する方針で、市は「新婚で新居に関する諸費用に悩んでいる人は活用してほしい」(市企画政策課)と期待している。
同事業では、新婚世帯が新居を取得する際の購入費用、敷金、礼金、仲介手数料、引っ越し費用を30万円を上限に補助する。国の少子化対策事業を活用し、財源のうち半額は国の交付金で措置される。2019年度からスタートした。
市が策定した「人口ビジョン」では、15~49歳の女性の一人当たり出産数である合計特殊出生率2・47の実現などを目指している。新婚世帯の引っ越し費用などを補助することで、結婚と出産を後押しする狙いがある。
補助金の申請件数と補助額は初年度が40件で1200万円だったが、20年度は36件で757万円と減少し、予算にも余りが出た。19年度には補助が認められていた家賃が補助対象経費から外れ、制度の周知も不足していたことが影響したと見られる。
市は今年度、870万円の予算を計上し、SNSで制度を紹介するなどPRを強化。その甲斐があり、申請件数は12月までに39件と前年度を上回り、補助額も予算の上限に達した。
今年度の補助対象世帯は1~3月までに結婚した世帯。夫婦の合計所得が400万円未満、夫婦の年齢がともに39歳以下などの条件があるが、申請件数は市の当初の見込みを上回った。
市企画政策課によると、市が補助金を受給した世帯にアンケートしたところ「地域に応援されていると感じた」と回答した世帯が9割を超えた。補助金が結婚を後押ししたという世帯も一定数いたという。
市は来年度も事業を継続するため、今年度実績を上回る申請件数と補助額を見込み、県を通じて国に予算要求している。
同課の担当者は「補助金をかなり活用してもらっているようだ。国の予算措置が決定すれば、制度をさらに周知したい」と意気込んだ。