子どもの健やかな健康を国民全体で考えようと「児童福祉週間」が5日から始まる。石垣市のまとめによると、2020年の児童虐待相談件数は231件で過去最多になり、21年度もほぼ同様の高い水準で推移している。児童虐待に対する市民の意識が高まり、従来は虐待と認識されていなかったケースも含めて問題化されることが増えたためと見られている。市子ども家庭課は、子育てに困った場合「相談してほしい」と呼び掛けている。
市の児童虐待相談件数は2017年度まで50件~70件台で推移してきたが、19年度は201件と急増。20年も引き続き増加している。
相談の多くは警察からの連絡で問題が表面化している。児童虐待を疑った関係者が通報していると見られ、同課の担当者は「児童虐待に対する市民の意識が高まっている」と見る。
市子ども家庭課によると、児童虐待の形態はネグレクト(育児放棄)が最多。育児放棄に至る背景は多様で、保護者が仕事に追われていたり、障害を抱えているために子どもの面倒を見られないケースも虐待と認定されている。市は福祉分野などの関係機関や、育児を支援する民間事業者と連携しながら対応に当たっている。
2000年の児童虐待防止法改正以後は、子どもの前で配偶者に暴力を振るう「面前DV」という概念も普及してきた。子どもに対して直接肉体的、心理的虐待を加えなくても、目の前で両親が争う光景を見ることで、子どもには深い心の傷が残るためだ。同課は、石垣市でも「面前DVは増えている」としている。
市は11月の「児童虐待防止月間」に合わせ、関係機関と連携して集中的に啓発活動に取り組むことにしている。
児童虐待が疑われるケースを発見した場合はホットライン「184」で対応する。