石垣市内で昨年、果物に寄生する害虫「ミカンコミバエ」が確認されたことを受け、県などが行っていた対応措置は駆除作業の完了で7日で解除された。県農林水産部は崎原盛光部長名のコメントを出し「市民の多大な協力に感謝する。今後とも防除対策を継続し、早期発見に努める」と対応措置の解除を宣言。先島諸島は台湾、フィリピンなど発生国と近いことから再侵入の可能性があるとして、警戒を継続する姿勢も示した。
昨年5月、果物を庭で育てている市内の一般家庭から「虫が果物についている」と市に問い合わせがあり、確認したところ、虫がミカンコミバエであることが発覚。以後、市内で繁殖したと見られ、今年7月までに計24頭が確認された。
県、市、JAなど関係機関が連携し、市内各所にトラップを設置してオスを誘殺(ゆうさつ)する「オス除去法」と呼ばれる処置を実施。ミカンコミバエが見つかった周辺一帯を調査し、除去が必要と判断した果物を処分する作業を続けた。除去した果物は2700㌔以上に上った。
7月14日以降、ミカンコミバエ本体や寄生した果物は2カ月にわたり確認されていない。
ミカンコミバエは、植物防疫法で検疫有害動植物に指定されており、果物に寄生すると大量に産卵したり内部にウジを沸かせる。
今回は報告がなかったものの、商品用の果物に寄生が確認された場合、出荷停止措置が講じられ、営農に多大な影響を及ぼす。
県は1986年に同種の根絶を達成したが、八重山では近年、温暖な近隣諸国から再侵入したとみられるケースが相次いでいる。
八重山農林水産振興センターの平田功所長は今回の事例について、台風直撃が少なく、果実がついたままになった上、ミカンコミバエが活動的になる温暖な気候が保たれた結果と分析。「根絶している状況を維持することが重要なので、引き続き市民、農家の皆さんに協力をお願いする」と注意を呼び掛けた。