【視点】コロナ沈静化 再流行に備えを

 沖縄の新型コロナウイルス感染状況が改善の傾向に向かっている。一時は沖縄本島の病床使用率が100%を超えるなど「医療崩壊」とも言われる事態に至ったが、ここへ来て新規感染者数が急減。休止していた一般外来を再開する病院も出るなど、医療現場も少しずつ落ち着きを取り戻しつつあるようだ。
 県内の直近1週間の人口10万人当たり新規感染者数は長く全国最悪が続いてきた。だが現在の数値は全国平均を下回り、19日時点で全国44位になっている。全国よりピークが早く到来したぶん、新規感染者数の減少も早かったように見える。
 改善の理由としてはワクチン接種が進展したことや、主流となったオミクロン株の派生型「BA・5」の重症化率が低く、軽症または無症状のまま比較的早期に回復するケースが多かったことが挙げられそうだ。
 感染力が強く、かつてない大流行を引き起こした「BA・5」だが、重症化リスクが低い若年層などに限れば「風邪とほとんど変わらない」と指摘する声もある。
 政府は7日、感染者の隔離期間を短縮し、無症状者は検査の翌日から7日間(5日目に検査キットで陰性を確認すれば6日目から)、有症状者(入院していない人)は発症日の翌日から7日間で症状軽快から24時間経過後となった。濃厚接触者の自宅待機期間は5日間とされた。
 各都道府県が現在行っている感染者の全数把握も今後、簡略化する方向で検討している。新型コロナの感染症法の位置づけも、警戒レベルが高い現在の「2類」から、季節性インフルエンザ並みの「5類」に引き下げる議論がこれから活発化しそうだ。新型コロナに対する政府の認識は「未知の危険な疫病」から「ありふれた感染症」に変わりつつある。
 ただ、これで2年間に及んだコロナ禍が本格的な収束へ向かうかは現時点で見通せない。
 コロナウイルスは次々と変異することが知られており、そのたびに感染力がより強力な変異株が主流になる。感染者数が増えれば、重症化リスクが高い高齢者や、基礎疾患保有者が危険にさらされる状況は変わらない。
 オミクロン株に対応した新たなワクチンの接種が20日から高齢者などを対象に始まり、今後、全国で接種範囲が拡大する見通しだ。ただ沖縄はこれまでのワクチン接種率が全国最低レベルで推移し、そのことが最悪の感染拡大につながったとの分析もある。
 医療関係者が続々と感染し、医療崩壊と呼ばれる事態を引き起こしたこと、濃厚接触者の急増で各職場が深刻な人手不足に陥ったことなど「第7波」がもたらした混乱は記憶に新しい。
 新型コロナの再流行は今後も予想される。過去の教訓も踏まえた備えが必要で、それは沈静化した今検討すべきことだ。

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