「八重山会館」建設断念 費用分担、3市町合意できず

石垣市が竹富町、与那国町と共に沖縄本島で計画していた「八重山会館」の建設を事実上断念したことが15日分かった。市が試算した建設コストに関し、3市町間で費用分担の合意に至らなかった。市は今後、建物の建設以外の方法で「八重山会館」の目的に沿った事業を実施できないか検討している。
「八重山会館」は本島に派遣された児童生徒などの宿泊場所、本島で活動する郷友会の活動拠点として、3市町が協力して建設する予定だった。この日の市議会一般質問で石川勇作氏が「八重山会館」建設構想の進ちょく状況をただした。
市当局の答弁によると、市は2020年、内閣府の補助を受け、民間活力を導入した「八重山会館」建設の調査検討支援業務を実施。この中で建設コストを試算し、建設費用10数億円、毎年の維持管理費数千万円を見込んだ。
市が21年6月、竹富町に建設コストを提示したところ、町側からは「町民の渡航費助成を継続する必要があるので、それを超える負担は難しい」との回答があったという。
野崎雅治企画政策課長は「予算面で3市町の合意に至らず、大規模な箱物の整備は困難と判断した」と説明。今後は「八重山会館」の目的だった児童生徒などの渡航費助成や郷友会活動の支援などに重点を置き、具体的な施策を検討する。
本島の郷友会には事務所がなく、歴代の会長宅を事実上の事務所として使用しているという。中山義隆市長は、「郷友会がいつでも集まれる場所、総会を開ける場所の物件があった場合、こちらが費用を負担する形なら施設を確保できる。(その後に)竹富町、与那国町と協議するのが流れとしてはスムーズにいく」と述べ、既存の物件を利用し、郷友会の活動拠点となる「八重山会館」設置を引き続き目指す考えを示した。
石川氏は「八重山会館は沖縄振興特定事業補助金を財源に想定しており、民間企業も投資しやすく、3市町のアンテナショップとしてさまざまな活用ができたと思う。本当に残念だ」と指摘。「ゼロからのスタートになると思うが、3市町が合意できる形で進めてほしい」と求めた。

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