【視点】「UFO騒ぎ」では済まされない

 中国の偵察用気球が米国上空で発見され、バイデン大統領の命令で出動した米戦闘機が4日、南部サウスカロライナ州沖で気球を撃墜した。政府によると、日本でも2020年と21年に東北地方でこの気球と酷似した飛行物体が目撃されている。日本人が思う以上に、中国の偵察活動が日本国内に食い込んでいる可能性も否定できず、警戒が必要だ。
 八重山でも近年、天体観測の愛好家から「UFO(未確認飛行物体)を見た」という情報が数件、新聞社に寄せられている。関係機関に問い合わせた結果、中国の人工衛星と判明したケースもあったが、中には真偽不明で、紙面に掲載されていない情報もある。
 中国人民解放軍は気球や飛行船の軍事利用を進めているという。人工衛星より低い高度で飛行するため、レーダーに捉えられにくく、陸地の地形や構造物などをより鮮明に偵察できるメリットがあるとされる。
 八重山での「UFO騒ぎ」も、真相は中国による離島の偵察活動だった可能性は否定できない。気球、飛行船、無人機、人工衛星など、現代科学を駆使した偵察方法は多岐にわたる。離島でUFOを目撃した住民は、空を見上げながら大宇宙のロマンに浸っている場合ではないのかも知れない。
 軍事専門家は、中国が台湾侵攻と同時に、尖閣諸島や石垣島などを含む八重山への侵攻に踏み切る可能性があると指摘する。中国が八重山の離島で、偵察活動を強化する動機は十分にあると見るべきだ。
 最近、尖閣諸島周辺や沖縄本島―宮古島間では中国の無人機が出没している。軍事行動を視野に入れた情報収集の目的だろうか。こちらは防衛省が動きを察知し、公表している。
 バイデン大統領は7日の一般教書演説で「中国が米国の主権を脅かせば、米国を守るために行動する。われわれは行動した」と述べ、気球撃墜の意義を強調した。他国の偵察用気球が日本領空を侵犯した場合、日本も同じように対応できるのだろうか。
 浜田靖一防衛相は肯定的な考えを示したが、2~3年前の東北地方での事例が当時、大きな問題にもならないまま、結果として見過ごされたことは否めない。他国の偵察活動にどう対処するのか、あらゆるケースを想定して準備する必要がある。
 米国が偵察用気球を撃墜したのに対し、中国は米国が脅威を煽っていると批判。オースティン国防長官が申し入れた中国の魏鳳和(ぎ・ほうわ)国防相との電話会談を拒否した。
 自ら他国に国際法違反の行為を仕掛け、相手方が対抗措置に出ると、それを口実に、さらに緊張を高める。尖閣諸島問題でも見られた中国の常套手段だ。何にせよ沖縄県民は、中国の詭弁に惑わされないことが大事である。

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