【視点】新型肺炎、戦略転換迫られる観光

 中国を中心とした新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大で、沖縄でも観光産業に影響が出始めている。玉城デニー知事は1月31日の定例記者会見で「観光危機対応に必要な体制整備を図りたい」「観光客や事業者の健康と安全を守ることを第一に考えたい」と述べたが、具体的な対応には言及しなかった。
 沖縄には2019年、中国本土から年間約75万人が訪れており、外国客としては、国別で台湾(約94万人)に次いで2番目の多さである。
 県は「アジアのダイナミズムを取り込む」と宣言した翁長雄志前知事時代から中国客の誘致に熱心で、知事自身が訪中して直行便の就航などを働き掛けてきた。玉城知事も忠実にその路線を受け継いでいる。
 だが新型肺炎の蔓延(まんえん)を受け、中国は団体旅行の禁止に踏み切っており、今年は中国客が減少する可能性が高い。今後は、中国依存からの脱却も視野に入れた観光戦略の転換が必要になってくる。
 具体的には、中国客が長期的かつ大幅に減少することを想定した上で、沖縄観光がどのように生き残るか検討するための処方箋づくりである。
 もともと中国は、誘客先としては一定のリスクを覚悟しなくてはならない国だ。中国政府は台湾の蔡英文政権に圧力を加える手段の一環として、観光客の渡航制限を打ち出している。将来、日中関係が悪化すれば、水道の蛇口をひねるように観光客が止まることは容易に予想できる。

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