ゴールデンウィークが終わった。賑わいの余韻を残す繁華街を歩くと、期間中、観光客も地元住民も無事に過ごせてよかったと、安どの息がもれてくる。この平穏をもたらしたのは、石垣、与那国、宮古に展開されたPAC3だろう。もちろん、迎撃システムが作動することなど望んでいないが、大きな抑止力となったことは間違いない▼連休最終日には日韓首脳会談も行われ、本格的なシャトル外交が再開した。両国にわだかまる歴史認識の問題や徴用工問題とは切り離して、安全保障や経済協力を進めることに一致した結果だ。念頭にあるのは北朝鮮の核、ミサイル開発であるのは明らか。切り離された問題がいずれ蒸し返される可能性があるとしても、今、そこにある危機への抑止、対応がせまられるとの認識が共有された▼では、東シナ海、日本海をはさんだ位置にある沖縄のリーダーは、こうした危機感をどこまで共有できているのだろう。港がいっぱいで、PAC3の装備を運ぶ船舶が入る調整がつかないと、平然と言ってのける危機感の欠如は、見ていて痛々しい。その気になれば調整は可能だろう。やらないための都合にいい言い訳にしか聞こえない▼石垣市の庭を機関砲を携えた輩が通っていくというのに、見て見ぬふりを続けている。それどころか、「外交」と称して中国へ行くにあたり、苦情を切り出す気配もない▼「外交」を掲げる以上、堂々と論戦を交わしてほしい。その覚悟がないならば外交などと構えた用語を用いず、素直に交流とかにとどめて笑顔を振りまいてくればいい。