石垣市が弾道ミサイル飛来を想定し、来年1月以降に住民避難訓練を実施する方向で県と調整していることが分かった。他国の武力攻撃に備える国民保護計画の訓練は昨年度、与那国町と那覇市で実施されているが、石垣市では初めて。市防災危機管理課は「国際情勢が不安定な中、国境の島として、さまざまな状況を想定する必要がある」(具志堅広一課長)と話す。
北朝鮮は人工衛星と称する弾道ミサイルを発射する準備を進めていると見られ、ミサイルが先島諸島上空を通過した場合に備え、自衛隊は石垣市や与那国町に地対空誘導弾パトリオット(PAC3)を搬入している。市と距離が近い台湾に対しては中国が軍事的圧力を強めており、台湾有事の懸念も強まっている。
10日には市議会の「国民保護計画等有事に関する調査特別委員会」(花谷史郎委員長)が開かれ、同課の担当者が住民避難訓練の計画を報告した。
同課によると、弾道ミサイル飛来を想定した訓練は県が実施主体となる。県は各自治体に訓練を実施する意向があるか照会し、今年度は石垣市、沖縄市、うるま市が実施の意向を示した。
石垣市は毎年、防災訓練を行っているが、具志堅課長は取材に対し「弾道ミサイルが飛来した場合は瞬時に近くの堅牢な建物に避難しなくてはならず、津波などを想定した防災訓練とは違う難しさがある。周辺に堅牢な建物がない場合は、田んぼの畔(あぜ)のようなところで身を伏せることもある」と指摘した。
今年は石垣市で県の防災訓練が予定されているため、スケジュールの都合で住民避難訓練は来年1月以降となる見通しという。訓練の規模など詳細は決まっていない。
特別委の委員からは「訓練がなぜ必要かも含め、議論や周知が必要」(花谷委員長)という声が上がった。
3月には県庁で石垣市などが参加し、有事を想定した図上訓練が行われ、住民の全島避難のシミュレーションが検討された。
それを受け、同課は希望する職員を対象にした国民保護計画の説明会を今月中に開催し、住民が避難する際の誘導方法などについて周知を図る。職員対象の説明会は初めて。2日間で約100人の参加を見込む。