PAC3展開前に発射 北ミサイル、県民に一時避難要請 離島の迎撃態勢機能せず

Jアラートの発動を受け、対応に追われる市防災危機管理課の職員=5月31日午前7時10分ごろ、市役所

 北朝鮮は5月31日午前6時27分、事実上の弾道ミサイルを発射し、日本政府は6時半、全国瞬時警報システム(Jアラート)を発動して沖縄県民に避難を呼び掛けた。その後、ミサイルは日本に飛来しないと発表した。ミサイルを迎撃するため自衛隊が石垣市に搬入していた地対空誘導弾パトリオット(PAC3)は、同日までに南ぬ浜町に展開しなかった。与那国町、宮古島市でもPAC3の展開は確認されなかった。台風2号が先島諸島に接近した影響と見られる。離島の迎撃態勢は機能しなかった形だ。

 中山市長は午前7時半ごろ、市役所で報道陣の取材に応じ「市民の安全を優先し、PAC3を受け入れた。天候などで(展開が)厳しい場合は致し方ない」と述べた。自衛隊の対応については「基本的に問題はない」との考えを示した。
 ただ、北朝鮮が再びミサイルを発射した場合に備え、南ぬ浜町への展開に関しては「2番目の候補地も選定する必要がある」と指摘した。
 中山市長によると、PAC3の展開場所に関する自衛隊側との調整で市側は、南ぬ浜町以外への展開を打診。これに対し自衛隊側は、住宅からの距離などを考慮し、2016年に続き南ぬ浜町への展開を決めた。
 石垣市役所では午前6時38分に担当職員が出勤。市民に対し、防災無線やSNSで建物の中や地下に避難するよう呼び掛けた。午前7時4分には、ミサイルは日本に飛来しないとする消防庁の発表を伝える緊急速報メールが携帯電話などで流れた。市は7時7分、防災無線を使い避難解除を周知した。
 災害対策本部長の中山義隆市長や同本部メンバーの市幹部は7時30分ごろ会合を開き、市内で被害が出ていないことを確認。対策本部は一時解散した。
 北朝鮮は2発目の発射を予告しているため、市の担当部局は引き続き警戒態勢を取り、再度の発射の兆候が見られた場合は再び対策本部を設置する。
 5月31日は、石垣市のスポーツイベント「チャレンジデー2023」が午前零時から開始された。中山市長は6時過ぎ、会場となった中央運動公園の屋内練習場を訪れ、Jアラートの発動に遭遇。集まっていた市民に待機を呼び掛けるとともに、自身は登庁した。

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