政府は12日、安全保障上重要な施設の周辺や国境離島を対象とする土地利用規制法に基づき、10都県の計161カ所を「特別注視区域」「注視区域」に指定すると官報で告示した。周知期間を経て8月15日に効力が発生する。沖縄県内の施設や土地が初めて指定され、八重山では陸上自衛隊の石垣、与那国駐屯地など19カ所となっている。
八重山で、特に重要度が高いとされる「特別注視区域」は石垣市が石垣駐屯地、与那国町が与那国駐屯地など3カ所、竹富町が外離島・内離島で、計5カ所。「注視区域」は石垣市が石垣海上保安部など5カ所、竹富町が西表島、鳩間島、波照間島の4カ所、与那国町が次世代装備研究所与那国海洋観測施設など5カ所で、計14カ所。
県内は計39カ所で、八重山以外の特別注視区域には陸上自衛隊宮古島駐屯地、航空自衛隊宮古島分屯基地、保良訓練場、南城市の陸自、空自高射教育訓練場などといった自衛隊施設が含まれる。
特別注視区域と注視区域の各地域の全域図は内閣府のホームページで閲覧できる。
石垣市議会6月定例会では、土地規制法について野党が「市民の経済活動が圧迫される」と懸念。中山義隆市長は「土地の利用が阻害され、住民生活が監視される法律ではない。(市民生活に)特に影響はない」との認識を示した。
今回の指定は昨年9月の全面法施行後、第2弾。2月1日に初の指定区域58カ所が施行され、今回で計219カ所となる。
10都県は宮城、東京、新潟、石川、鳥取、島根、高知、長崎、鹿児島、沖縄で、内訳は特別注視区域が40カ所、注視区域が121カ所。今回、空港と原子力関連施設が初めて指定され、「新潟分屯基地、新潟空港」(新潟市)、九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)は注視区域に含まれた。
同法は、重要施設や領海の根拠となる国境離島の機能を阻害する土地利用を防ぐのが目的。政府は対象区域の土地所有者の氏名や国籍などを調査し、施設の機能を妨害する行為への中止勧告や罰則付きの命令を出すことができる。同法に基づく審議会が6月30日に161カ所の追加指定を了承していた。