玉城デニー知事が今月、スイス・ジュネーブの国連人権理事会で米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設問題に関する演説を予定していることを巡り、自民党沖縄県連(仲田弘毅会長)、県議会会派沖縄・自民党(島袋大会派長)のメンバーが6日、県庁を訪れ、玉城知事に「発言は冷静かつ平穏なものにしてほしい」とくぎを刺した。米軍基地問題は国際世論に訴えるのではなく、まずは国内政治の場で議論を深めるべきとして「(国連演説という)手法には疑問を感じざるを得ない」と批判した。
自民県連、県議会自民党会派の要請書では、玉城知事が国連人理事会で米軍基地問題を訴えることについて「各国各機関に無用の誤解を生じさせかねず、知事の提起する地域外交の趣旨にも反する」と疑問視。
玉城知事の訪中や、中国・習近平国家主席が「琉球」に言及したことに触れ、中国政府が沖縄に関心を寄せていると見られる現状に「違和感」を表明。尖閣諸島周辺海域で中国船が領海侵入を繰り返していることを挙げ「知事が中国政府に誤ったメッセージを送ることのないよう、発言には十分留意してほしい」と求めた。
国連で沖縄県民が「先住民」と誤解されることのないような配慮も要望。辺野古移設に関する最高裁判決で県が敗訴したことを受け、県は判決に従うべきだと主張した。
玉城知事は「(米軍基地問題は)国内問題というが、人権という基本的な価値観は国際社会でも不変。日米安保体制で70%もの米軍専用施設を持たされていることについての考え方、人としての平穏なあり方を考え、国際社会とも協力していきたい」と理解を求めた。
中国・習主席の「琉球」発言については「習主席の体験上、認識上の範囲の発言であり、それ以上の大きな意味はないのではないか」と述べた。尖閣諸島問題については日中政府間での対話に期待。国連で先住民に関する発言はしないとの見通しも示した。
最高裁判決への対応については「専門の先生や弁護団も含めて検討している」とした。
翁長雄志前知事が2015年の国連演説で使った「自己決定権」という言葉について、県議からは、他民族に支配されている人々が使う言葉であると指摘が出た。玉城知事は「翁長知事の発言内容も確認し、誤解を招く発言にならないよう気を付けたい」と応じた。