「サンニヌ台」国天然記念物に 名勝にも、文化財審答申 ヤエヤマシタン自生地追加 与那国・石垣

太平洋に向かってテラス状に張り出すサンニヌ台(与那国町提供)

 国の文化審議会は20日、新たな名勝や史跡の指定を盛山正仁文部科学相に答申した。沖縄県内からは、与那国島の南東部海岸にあり、多種多様な生物の痕跡や貴重な断層が良好に保存されている「サンニヌ台」が天然記念物と名勝に指定される。また、国指定天然記念物のヤエヤマシタン2本(指定木)などが自生している石垣市平久保の土地を追加指定し、土地の名称を「石垣島平久保のヤエヤマシタン自生地」に変更する。指定は近く官報に告示掲載され、正式に決定される。

 サンニヌ台は、与那国島にある軍艦岩から立神岩までを含む約1・3㌔の岩石海岸地帯。島の代表的な景勝地としても知られる。
 砂岩を主体とし、風化や侵食、活断層によって地層面に沿ってはがれた層理(そうり)と直線的に地層面が破断する節理(せつり)が繰り返し見られる。
 海底に生息していた生物の生活跡(生痕化石)が極めて良好な状態で保存されている。逆断層や横ずれ断層が多い日本列島では珍しく、正断層の構造を詳細に観察できる露頭(ろとう)も良好に保存されている。与那国島の成り立ちを知る上で学術的な価値が高い。指定面積は約31・8万平方㍍。
 与那国町教委の寺村有美恵教育長は「国の天然記念物及び名勝にサンニヌ台が指定され、大変喜ばしい。学術的にも価値がある貴重な場所が認められ、誇りに思う」とコメントした。
 ヤエヤマシタンは、主にフィリピンやインドネシアに分布するマメ科の植物で、平久保が分布の北端。1959年、平久保に自生した2本が当時の琉球政府により天然記念物に指定された後、沖縄の本土復帰に伴い国の天然記念物となった。
 黄色の美しい花を多数つけ、木材は一部の地域で工芸品などに用いられる一方で、絶滅危惧IA類に指定されるなど、保全が課題となっている。
 指定の追加範囲は、字平久保平久保牧234番1地内の東西140㍍、南北100㍍にわたる土地。
 市教委の﨑山晃教育長は「新たな天然記念物としての価値が認められ、より一層、強力に保護が図られることになる。大変喜ばしい」と語った。案内板の設置など保護に向けた取り組みについて協議する検討委を置くことも明らかにした。

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