フルスト原遺跡 保存活用計画策定へ 大浜の文化遺産と一体的に

国指定史跡のフルスト原遺跡(石垣市教委提供)
国指定史跡のフルスト原遺跡(石垣市教委提供)

 石垣市教育委員会は、国指定史跡「フルスト原遺跡」(同市大浜)の保存活用計画を今年度から2年間かけて策定する方針を固めた。同遺跡を巡っては約30年前に保存整備基本計画が策定され、石積みの修復作業などが続けられてきたが、近年、隣の旧石垣空港跡地で開発が進むなど、周辺環境が大きく変化している。市教委は、同遺跡を大浜地区に点在する文化遺産と一体的に活用することも見据え、新たな構想が必要と判断した。
 市教委は同遺跡保存整備基本計画を1992年に策定。国や県の補助を受けて史跡の保存修理事業を進め、発見された石積みの遺構15基のうち、現時点で7基を復元した。芝張り工事や仮設の説明板設置なども行い、約5150平方㍍の「石塁広場」を整備した。
 基本計画策定当時は近隣で石垣空港が稼働していたが、現在、空港は移転し、跡地に市新庁舎、県立八重山病院が建設されるなど、周辺環境は激変。今後も宅地開発や新空港アクセス道路建設などが進むと予想される。
 市教委は、基本計画に基づく整備事業を20年度で一段落させ「遺跡を取り巻く状況の変化を見据え整備を行いたい」(文化財課)として新たに保存活用計画を策定する。
 基本計画から引き継ぐ課題もある。大浜地区には、津波大石、カンドウ原遺跡、貝塚、複数の御嶽や拝所など、多数の文化遺産が存在している。基本計画では、こうした文化遺産も包み込んだ形での「フルスト原史跡公園(仮称)」整備を提唱しており、新たに策定される保存活用計画で、史跡公園構想も仕切り直しになると見られる。
 市教委は策定員会を年度内に設置する考えで、委員は市文化財審議会委員、学識経験者、行政関係者8人以内で構成。下部組織として市職員による連絡会を設置する。教育長は、同遺跡の現状を詳細に調査し、策定委に報告する現地調査員を委嘱できる。
 11月26日の市教委定例会で、策定員会の設置要綱が承認された。教育委員からは「(同遺跡が)一日も早く利活用できるようになることを期待している」という声が出た。
 フルスト原遺跡 石積み遺構、御嶽跡、古墓などからなる約12・3ヘクタールの遺跡で、年代は12~15世紀ごろ。地域では琉球政府に反抗した英雄、オヤケアカハチの居館跡と言われたこともある。78年、国史跡に指定された。

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