石垣市は21日、空き家に関するさまざまな問題に関し対策を話し合う「空家等対策協議会」(会長・中山義隆市長)の初会合を市役所で開いた。市が今年実施した調査で把握された空き家は311件、うち倒壊の可能性がある空き家は67件で、それぞれ5年前の調査に比べ増加している。市は同協議会での議論を踏まえ、現行の対策計画を年度内に改定し、空き家対策を強化する方針。
空き家は全国的に増加が見込まれており、防犯、衛生、景観面などの問題が指摘されている。同協議会での報告によると、空き家の実態調査は今年2月~5月、市や企業が保有している情報をもとに484件の家屋を対象に行われた。
空き家と判定されたのは311件で、18年の調査に比べ109件増加。空き家の状態をAからDの4段階にランク付けし、倒壊の可能性があるなど、現況のままの居住が不可能とされたDランクの空き家は67件で、同様に33件増えた。
空き家のうち所有者を特定できたのは295件で、129件が市の意向調査に応じ「解体費用の支出が困難」(23件)、「愛着があり、他人に賃貸、売却できない」(14件)、「今後利用予定がない」「更地になると固定資産税が上がる」「リフォームしないと使用できない」(各13件)などと回答した。
12月に施行される「空家等対策の推進に関する特別措置法」の一部改正では、市区町村長が従来に比べ簡略化された手続きで危険家屋を撤去できる緊急代執行の制度新設などが盛り込まれた。市が18年に策定した対策計画は今年度、改定時期を迎えており、市は法改正の内容も盛り込みながら、空き家の管理対策、空き家化の防止対策などを推進していく。
協議会は官民の関係者11人で組織。初会合では事務局の市が空き家に関する実態調査や法改正などの動向を説明した。来年1月に予定している第2回会合で対策計画の改定案を取りまとめ、2月にパブリックコメント(市民意見募集)、3月に計画改定というスケジュールを想定している。庁内の検討委員会でも並行して空き家対策の議論を進める。
会合に先立ち、中山市長が委員に委嘱状を交付。「少子高齢化、相続、家屋の老朽化などで空き家は年々増加している」とあいさつし、活発な議論を求めた。
会長以外の委員は次の皆さん。
▽副会長・平田勝男(市自治公民館連絡協議会長)▽委員・米元悠(沖縄弁護士会)、大田聖子(県行政書士会八重山支部長)、儀間朝俊(八重山地区宅地建物取引業者会)、武元勇(県建築士会八重山支部長)、崎原喬(市民生委員児童委員協議会長)、味間剛(八重山古民家再生協会代表理事)、松河良(那覇地方法務局石垣支局登記官)、富田功(県土木建築部八重山土木事務所建築班長)、運道徹(市建設部長)