「赤紙」のレプリカを作るとは、なかなかエッジの効いたアイデアだ。折しも、中国軍幹部が石垣市の行政区画である尖閣諸島をめぐり「戦争を望まないが恐れない」と、「戦争」に言及する緊迫した情勢だ。ただ言葉を発して平和を叫ぶより、再現された赤紙には、今の平和を維持しようという訴求力があった▼残念なのは、その扱い方だ。県立高校内に無断で侵入して配布しなくても、どこか場所を確保し、関心のある若者を集め「赤紙」を再現した狙いを説明すればよかったのではないか▼新日本婦人の会支部によるこの行動を報じた弊紙の写真には、教職員が退去を求めても、学校敷地内でプラカードを掲げる姿が記録されている。にもかかわらず、この出来事を擁護しようとする議員がいることには、あきれた▼「赤紙」配布は、学校側に連絡はなかったが、事前に記者クラブには通告はされていた(学校敷地内で配布するとは記されていなかった)。実際に、複数のメディアの記者が取材していた。たまたま、記事化したのが弊紙だけだった。だから「報道したのは八重山日報だけじゃないか」と、矮小化を図るのは筋が違う。さらに弊紙報道を怪文書やSNS情報と同列にとらえる発言もあった▼意に沿わないメディアの情報であれ、そこから真偽や背景を読み解く力をつけていただきたい。老記者の願いである。