「ウイルス逃さぬ」厳重防疫 クルーズ船乗客、帰宅に厚い壁 台湾通信54 特別編 ジャーナリスト迫田勝敏

チャーター機で台湾に帰国したダイヤモンド・プリンセスの乗客。全員が防護服(蔡英文総統のツイッターより)

 クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」での武漢肺炎の集団感染で防疫対策の杜撰(ずさん)さを指摘する日本批判が海外から相次いでいる。対照的なのは台湾。17年前の重症急性呼吸器症候群(SARS)の苦い経験もあって「そこまでやるのか」と思えるほどの厳しい防疫対策を採っており、成果も上がっている。

 それを象徴する一つはクルーズ船の台湾人乗客の扱いだ。船には30人以上の台湾人が乗っていたが、2月2日、横浜に戻った時点で検疫が行われ、5日までに4人の感染が確認され、下船して入院。19日までの船内で経過観察の間、米国籍を持つ一部の台湾人は米国のチャーター機で米国に退避。経過観察を終え、陰性の日本人はバスや電車で帰宅、韓国や香港など他の乗客も次々と迎えの飛行機で帰国の途についた。
 台湾人は本国から派遣された医師と乗客19人が最後に残り、台湾政府は日本側に再度のウイルス検査を求め、全員の陰性を確認したうえ、20日、下船し都内の旅館に1泊し、翌21日、迎えのチャーター機で羽田から帰国した。そのチャーター機に搭乗前、全員が防護服に着替え、医療用ゴーグル、マスクを着けた。
 機内は1列に1人が坐る。座席を離れることは禁止で遠くに坐る隣の乗客と話すこともできない。トイレも駄目。そのために食事はもちろん、ドリンクサービスもない。それでも失禁が心配ということで紙オムツも装着した。無言で約3時間、ウイルスを絶対寄せ付けない防護での飛行。夜遅く桃園空港に到着した。
 乗客の旅はこれで終わったわけではない。到着後、1人1台の救急車で病院に運ばれ、ウイルス検査。検査は2回。結果判明は23日午後で、全員が陰性。「これでようやく家へ…」ではなかった。今度は2週間の隔離。陽明山の検疫所に収容され、1人1室。外に出られず、部屋で時が過ぎ行くのをじっと待つだけ。それぞれの荷物も消毒が終わるまで手元に戻って来ない。
 全員が帰宅できるのは陽明山の桜が満開の頃。これだけ厳しい防疫対策だが、批判も不満もない。誰もが院内感染で多数の死者を出したSARSの記憶があるからだろう。当局は台湾を訪れる外国人にも厳しい。日本などには渡航警戒のレベル2に指定しているが、入国後、14日間はマスク着用、朝晩の体温測定、手荒い励行などを義務付けている。ウイルス消滅への強い決意だ。

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