新年度に尖閣対策室設置 市長「強固な組織で発信」 石垣市

石垣市が2022年1月、尖閣諸島周辺海域で実施した海洋調査(市提供)

 尖閣諸島に関する情報発信や、国、県との連携の強化に向け、石垣市は2024年度に「尖閣諸島対策室」(仮称)を設置する方針を固めた。中国が領海侵入や日本漁船への威嚇などで尖閣侵奪を図る中、地元自治体として領土・領海を守る意思を内外にアピールする形。15日の市議会一般質問で中山義隆市長は「(尖閣問題に対応する)より強固な組織を作っていく必要がある。あらゆる手立てで尖閣を全国、全世界に知ってもらうようにしたい」と強調した。

 現在、尖閣諸島に関する情報発信などの業務は、企画部企画政策課が行っているが、新年度からは尖閣諸島対策室に業務を一元化する。中山市長は「これまでよりさらに力を入れ、歴史や自然などの情報を国内外へ発信したい」と述べた。
 人員体制など組織の詳細は検討中で、中山市長は「専従とまではいかなくても、しっかり対応できる部署が必要だ」と説明。職員が他の部署との兼務となる可能性も含め調整すると見られる。
 一般質問では与党の仲間均氏が尖閣問題を取り上げ「玉城デニー知事は『尖閣は国の問題、基地問題は沖縄県の問題』だと言っている。県も国もあてにならないなら、地方自治体といえども長が胸を張って動くべきだ」と求め、中国に対抗するため、市役所に「中国対策室」を設置するよう提案した。
 また「私は台湾有事と聞くと『わが尖閣のことからやってくれ』と思う。尖閣を放置して台湾有事だ、と言うこと自体に大きな問題がある」と、台湾有事より尖閣問題を重視すべきとの考えを示した。
 仲間氏は漁業者として、尖閣周辺海域への出漁を続けている。尖閣周辺海域で、領海侵入した中国艦船が日本漁船への威嚇行為を繰り返していることに関し「今や(漁船を警護する)海保のご苦労がないと漁はできない。中国は尖閣を乗っ取りに来ている」と危惧した。
 尖閣諸島の魚釣島で日本人が建設した鰹節工場跡の石積みが崩壊しているとの指摘に中山市長は「自然環境は、まだ何とか守ることができる。尖閣には貴重な固有種もいるので、国も守る体制を整えてほしい。わが国としての姿勢をしっかり示すことが必要だ」と述べ、上陸の必要性にも言及した。
 尖閣諸島を巡り、市はこれまで情報発信センター設置、尖閣周辺での海洋調査、尖閣諸島の字名変更、標柱制作などの取り組みを展開してきた。
 野崎雅治企画政策課長によると、尖閣周辺での中国艦船の動向は2020年が接続水域への入域333日(延べ1161隻)、領海侵入29日(延べ88隻)、21年が接続水域への入域332日(同1222隻)、領海侵入47日(同136隻)、22年が接続水域への入域336日(同1201隻)、領海侵入37日(同103隻)。
 今年は12月14日現在、接続水域への入域337日(同1231隻)で過去最多を更新。領海侵入は41日(同125隻)となっている。

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