断水「前例ない事態」と謝罪 ろ過池、複数個所に不具合 きょう全面復旧予定 石垣市

緊急断水について説明する中山市長と比屋根部長(右)=27日午後、市役所

 石垣市の中山義隆市長は27日午後、市役所で記者会見し、26日に行った緊急断水について説明した。石垣浄水場のろ過池で、複数の箇所に同時に不具合が生じたことにより、26日午後2時から市内各地で緊急断水に踏み切った。中山市長と比屋根悟水道部長「石垣市民の皆さまの日常生活や事業者の皆さまの営業活動等に多大なご迷惑をおかけし、心よりお詫び申し上げます」と謝罪した。

 市は26日夕方には断水を解除したが、高台地域などでは水圧が低く、断水が続いていたところもあった。26~27日にかけ、市職員や業者総勢100人が、ろ過池の復旧作業に当たり、27日朝には断水は解消。28日には全ろ過池の機能回復を終える予定という。
 石垣浄水場では18カ所のろ過地のうち、定期メンテナンスを行っていた1カ所を除き、11カ所に不具合が生じた。比屋根部長は「これまで同時期に2、3カ所のろ過池に不具合が発生したことはあったが、一斉に発生するのは前例にはい」とし、想定外の事例だったことを明かした。定期メンテナンスは40~50日に一回程度で行われるという。
 市によると、今年度は例年に比べ雨量が少なく渇水状況で、河川の水量が減り、取水した水の濁度が高いため、ろ過閉塞が早まった可能性がる。急激な寒暖差による水温の変化で、砂層内で水処理を行う微生物の処理能力が低下したことも考えられる。複数の状況が重なった不足の事態だったという。
 八重山土木事務所河川都市港湾班によると、市内の生活用水をまかなう真栄里ダムの貯水率は現在75・2%。例年この時期には、ほぼ100㌫近くを推移することから若干の渇水状態だった。
 しかし「50%を切ると藻などが発生するため干ばつ対策を練る必要があるが、まだ懸念する段階にはない。市水道課からも事前に水質が下がったという話もなかった」としている。
 市水道課の担当者は今後、ろ過閉塞の要因となった砂層の状況や原水の性質などを調査し原因究明を急ぐ。
 中山市長は「災害時の初動体制についても、今回出てきた教訓を活かしながら、緊急対策について検証していく」と述べた。
 断水に対応するため、市は給水車を11台出動させた。また市から県を通じて要請を受けた陸上自衛隊石垣駐屯地は、災害時の支援として給水車5台を市内4カ所に派遣。27日午前中まで市民への給水を行った。
 石垣市内で断水が実施されたのは、2014年に渇水のために行われた夜間の計画断水以来。
 石垣市が竹富島に送っている給水については、影響はなかった。

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