プロ野球千葉ロッテマリーンズは22日、来年度から二軍春季キャンプを宮崎県都城市で実施すると発表した。ロッテは2008年から石垣市内でキャンプを行っており、今後は二軍のみ撤退する。一軍は来年も留まる方針。
高坂俊介球団社長は、球団を通じ「勝てるチーム作り、チーム強化が最大の目的。25年からは一軍は石垣島で、二軍は都城市でのスタートとなる」と説明。
宮崎県は読売ジャイアンツがキャンプを張るなど、沖縄と同様にキャンプ地として知られている。12月には都城市運動公園に、屋内練習場や最大6人まで投球できるブルペンなど付帯施設が完成することから、球団は利便性で同市が上回ったと判断したとみられる。
キャンプ期間中の練習試合の相手が韓国や台湾等、国外の球団に限られるなど、立地面の課題も指摘されてきた。
一方で、石垣キャンプは、八重山商工高の春夏連続甲子園出場や、同校で活躍した大嶺祐太元選手のロッテ入団など、印象的なニュースを通じて市民の野球熱が高まり、官民一体となった招致運動の末に実現した。
りゅうぎん総合研究所の調査によると、初年度は約20日間の日程で3万1950人が来場し、経済効果は13億円以上に上った。
球団は現時点で、中長期的な方針を明らかにしていない。だが急な決定に対し「一軍も撤退の流れではないか。もう次の球団を探せない」(行政関係者)と懸念の声が上がった。島外から見学に訪れるファンも多く、完全撤退となれば大きな経済損失は免れない。
地元住民限定のファンクラブ「ISHIGAKI26」の大城文博代表(58)は「2月は(キャンプを観戦する)団体客が多く、経済効果は計り知れない。市民もファンも一体となって盛り上がっていた行事だ。もし一軍もいなくなれば、経済的にすごくダメージがある」と落胆。「二軍のキャンプも下積み時代を応援したい人がたくさん見に来ていた。残念でならない」と声を落とした。
キャンプ地の一部変更のニュースに、市民は落胆した様子だ。
主会場の市運動公園野球場でボランティアに従事してきた男性(30代)は「残念だ。子供たちに『石垣からプロに行けるんだ』と希望を与えてくれた。息子が野球をしているので、父母としてはありがたい環境だった。今後もできる限りの手伝いはしたい」と話した。
今シーズンの春季キャンプは、2月1日から同26日まで運動公園などで実施され、一部は同13日から糸満市に移る予定。