来月中旬に予定されていた米軍ミサイル駆逐艦の石垣港への寄港について、石垣市は9日、接岸が予定されているクルーズ船岸壁が技術上の基準を満たしておらず航行の安全を確保できないため、入港不可と判断した。同日午後、下地敏之港湾課長が石垣海上保安部に回答した。
石垣市によると、全国の港湾で安全管理上のガイドラインとなる「港湾の施設の技術上の基準」が定められており、米軍艦が水上に浮かぶ際に船体が沈む深さ(吃水)が港湾の岸壁よりも深い場合は、入港できない。
同艦の吃水は9・8㍍、接岸を予定する新港クルーズバース地区は水深10・5㍍だが、基準では風や波の影響を考慮し最低でも吃水に10%を加えた「余裕水深」が必要になる。同艦の吃水に余裕水深を加えると、約10・8㍍になり、10・5㍍を超えるため、入港不可と判断した。
寄港予定の艦船は、神奈川県横須賀を拠点に活動する米海軍第7艦隊のミサイル駆逐艦「ラファエル・ペラルタ」。
予定時期は3月11日から同14日だが、同13日にクルーズ船の寄港が予定されている。また、14日には別のクルーズ船が寄港する。市は米艦船が寄港する場合でも、岸壁の接岸はクルーズ船を優先する方針を示している。
米軍は石垣海上保安部を通じて日米地位協定に基づき石垣港に寄港すると通告していた。
米海軍は昨年9月に掃海艦を石垣港に寄港させていた。県は寄港自粛を要請したが、市は日米地位協定に基づく寄港であることを理由に「ペラルタ」も含め、寄港自粛を要請していない。