米海軍のミサイル駆逐艦「ラファエル・ペラルタ」による石垣寄港計画を巡り、石垣市議会の本会議で4日、野党が反対決議案を提出したが、賛成少数で否決された。米駆逐艦が寄港した場合、全日本港湾労働組合沖縄地方本部(全港湾)は石垣港と那覇港で全面ストライキに突入する構えだが、与野党からは賛否の声が相次いだ。
決議案では米艦船の寄港について、政府が有事を見据えインフラ機能を強化する「特定重要拠点・空港」の制度を「先取りするかのよう」な動きと警戒。民間の空港・港湾が軍事利用されると、有事の際に攻撃対象になると指摘した。
その上で「武器や弾薬を積んだ軍艦の入港は極めて危険で、多くの観光客が利用する離島航路や物流に悪影響を及ぼす」と強調した。宛て先は石垣市長。井上美智子氏(共産)が提案した。
野党の内原英聡氏は「米艦船の入港は、一段と緊張感を高める。ただでさえ一触即発の状況で、日米同盟があるから守られる保証もない」と入港計画を糾弾。野党の砥板芳行氏も「駆逐艦は他国を攻撃できる巡航ミサイルを積んでいる」と危惧した。
また砥板氏は、米側が市のクルーズ船岸壁が軍艦の規格に合わないのを承知で寄港を計画した可能性があるとして「(港湾機能を強化する)特定重要拠点の世論を喚起するための寄港と見る市民も多い」と追及した。
与党は「日本国民は日米安保条約の傘の下で平和な生活を送っている」(仲間均氏)、「日米同盟は平和のための同盟であり、東アジア、インド太平洋の安定のためにも評価されている。米軍の船が寄港するのは日米同盟に資する。ひいては世界の平和につながる」(長山家康氏)などと寄港計画を擁護。
友寄永三氏は「米艦船が入港し、どこかで問題を起こしたことはあるのか」と問い、井上氏は「分からない。しかし労働者が危機感を持っている」と答えた。
全港湾のストを巡っては、仲間氏が「住民生活を盾に取ったものだと思われても仕方がない」、友寄氏が「全面ストが行われると物流が止まり、市民が迷惑する。米艦船が入港すると危険なことが起こるというのは妄想だが、物流が止まると市民に影響が出るのは事実だ」と批判。
井上氏は「労働者にはストをする権利がある。その思いを市議会も受け止めるべき」、内原氏は「ストの権利を否定、批判する発言が市議会から出ることに驚いている」と応酬した。
決議案の採決では野党8人が賛成、与党と中立13人が反対した。
米駆逐艦は当初、クルーズ岸壁での寄港を計画したが、市は困難と回答。これを受け、米側は沖合での停泊を検討しているとの一部報道がある。