県内全域で物流止まる恐れ 全港湾スト通告、住民懸念の声

米ミサイル駆逐艦の入港に合わせ、全港湾のストライキが検討されている石垣港=4日午後

 米海軍のミサイル駆逐艦「ラファエル・ペラルタ」(排水量約9500㌧、全長155・3㍍、乗員約300人)による石垣寄港計画を巡り、全日本港湾労働組合(全港湾)沖縄地方本部が通告している全面ストライキに、住民から懸念の声が上がり始めた。ストが実行された場合、県内全域で生活物資の物流が止まり、住民生活に大きな影響が出る恐れがあるためだ。

 米海軍のミサイル駆逐艦「ラファエル・ペラルタ」(排水量約9500㌧、全長155・3㍍、乗員約300人)による石垣寄港計画を巡り、全日本港湾労働組合(全港湾)沖縄地方本部が通告している全面ストライキに、住民から懸念の声が上がり始めた。ストが実行された場合、県内全域で生活物資の物流が止まり、住民生活に大きな影響が出る恐れがあるためだ。
 「ラファエル・ペラルタ」は休養と物資補給のため11~14日に石垣寄港を計画していたが、船体が大きく吃水(きっすい)が深いためクルーズ船岸壁での着岸が困難になり、沖合での停泊を検討しているとの一部報道がある。
 全港湾沖縄地方本部は2月9日、沖縄港運協会に対し、米艦船が石垣港に寄港した場合「港湾労働者の職場の安全確保、労働者自身の安全確保」の観点から、11~14日の4日間、石垣港、那覇港、那覇新港ふ頭、浦添ふ頭で全面ストに入ると通告した。
 全港湾の労働者は港で荷役作業に従事している。全面ストが実行された場合、本土から沖縄本島、加えて沖縄本島から石垣島に入港した貨物船から4日間、荷物の積み下ろしができなくなり、生活必需品を含む物資が港で滞留する恐れがある。
 県内全域で商品の遅配、食品の品薄や賞味期限切れでの廃棄、資材不足による工事のストップ、事業活動の中断など、物流停止に伴うあらゆる事態が想定される。港湾関係者は「航空便以外のすべての物流が止まる」と見る。
 港湾関係者によると、8日ごろ東京、9日ごろ大阪を出港し、11日に沖縄本島の港に入港する予定の貨物船から、ストの影響を受ける可能性がある。状況によっては各港で、積み荷のキャンセルや貨物船の入港見合わせも有り得るという。
 石垣港には日曜日を除く毎日、沖縄本島から貨物船が入港しているが、港湾関係者は「荷物の積み下ろしができなければ、港で立ち往生してしまうのではないか」と危ぐ。11~14日はすべての貨物船の出入港も止まる恐れがあると指摘する。
 宮古島には全港湾の組織がなく、今回のストの対象にはなっていないが、沖縄本島からの貨物船が止まる可能性があるため、必然的にストの影響を受けるとみられる。
 全港湾は「全港湾組合員が稼働するすべての場所」でストを実施すると通告しており、荷役作業以外の業務や、非組合員の業務にも支障が出る可能性がある。
 米艦船の寄港に関し、市には5日までに、米側からの情報はなく、実際に寄港するか確定していない。
 全港湾幹部は「もし戦闘があった場合、石垣港に艦船が停泊していれば、我々の職域である港湾が攻撃対象になる。労働者の命を守るためにも、港の使用が常習化されることはあってはならない」と強調した。
 一方、港湾関係者は「争議は、労働者の権利のために労使で交渉するものだ。今回のストは労使交渉とは無関係で、果たして争議と呼べるのか」と疑問視。4日の市議会でも、与野党からストに対する賛否の声が相次いだ。
 食品会社勤務の石垣市民男性(58)は、全面ストが実行された場合、店頭で商品の品切れが起こると予想。「全港湾のストは住民生活を人質に取った政治活動だ。主義主張の権利はあるとしても、ライフラインを止めて県民を巻き込むのは、やめてほしい」と憤った。

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