石垣市の中山義隆市長は14日、市役所で記者会見し、米艦船の石垣寄港に抗議して全日本港湾労働組合(全港湾)沖縄地方本部が11~13日に石垣港で強行した全面ストライキについて「適法な手順を踏んだものではなかった」との認識を示した。市の調査で、労働関係調整法に違反していたことが判明したという。石垣港には今後も自衛隊や米軍の艦船が寄港する可能性があるが、中山市長は、ストが寄港の可否判断に影響を与えることはないと明言。全港湾にスト自粛を求めた。
労働関係調整法第37条では、公益事業に関する事件について関係者が争議行為をするには、少なくとも10日前までに、労働委員会および厚生労働大臣、または都道府県知事に通知しなければならないと定める。違反した場合には10万円以下の罰金も規定されている。
しかし市が関係機関に確認したところ、今回のストで、同法にのっとった通知の存在は確認できなかったという。
全港湾はスト実施に当たり、港湾管理者である市に米艦船寄港の拒否を求め、交渉入りを要望。市は全港湾との交渉が適法か確認するため関係法令を精査し、この中で同法違反の事実が発覚したとしている。県労働委員会にこの件を報告し、処罰を求めた適切な対処を求める。
全港湾のストに伴い、石垣港では貨物船の荷役作業が止まり、欠品する店舗が出るなど島々の物流が混乱した。中山市長は「スーパーや飲食店でも大きな影響があった。労働組合のスト権は認めるが、今回のストは権利に基づかないストで、多くの市民が迷惑をこうむった。仮に正式な(手続きを踏んだ)ストだったとしても、政治的な闘争で住民生活を盾に取るストは、厳に慎んでほしい」と批判。
米艦船寄港の可否判断に関しては、適法性や安全性を考慮して受け入れを決めたと述べ、ストが判断に影響すれば「反対運動に使われることになる」と懸念した。
その上で「地元の労働者にも『ストをするのか』という意見があったが、沖縄地方本部が強硬にストを指示したため、地元も従わざるを得ない状況だった。全港湾の委員長には認識を改めてほしい」と要求。現地で実際にストを実施した組合員ではなく、ストを指示した山口順市委員長ら沖縄本島の執行部に問題があったと強調した。
全港湾のストを巡っては、石垣市議会も12日、即時解除を求める要請決議を賛成多数で可決した。