昨年、全米のテレビ業界で最大の栄誉とされるエミー賞を受賞した世界的ミュージシャンのスキップ・マーティン氏(66)が13日、石垣市内で吹奏楽部員らと交流した。技術指導を行い、愛用のトランペットを奏でて尊敬の眼差しを集める場面も。「心から演奏すれば、上手になれる」と激励した。
マーティン氏は石垣島北部の子どもたちが暮らすコミュニティを14日に視察する予定で、「事前に音楽を通じて触れ合おう」と提案したことで開催に至った。
一流の技術を学ぼうと、平真マーチングバンドレインボー、石垣中、石垣第二中吹奏楽部の部員らが参加。「学園天国」をマーティン氏の前で合奏し、講評を受けた。
マーティン氏は「グレート。ただ、楽譜はGPSだと考えて。皆さんをガイドしてくれるが、車を運転するのはあなた。音楽は魂で歌うんだ」とアドバイス。
同じ黒人シンガーのファレル・ウィリアムスによる名曲「ハッピー」をアドリブで演奏するなど実演も交え「間違いを恐れないで。演奏の仕方が分かっていない箇所を何度もこなすのが練習になる。そうして成長していける」と呼び掛けた。
質疑応答では、「自信を持ってパフォーマンスをしたい」と相談した生徒がいた。マーティン氏は「自分自身が違う人物だと思いなさい。あとはプラクティス(練習)だ。私は20年間、一日8時間は必ずトランペットを吹いた」との助言を授けた。
スケジュールの都合で60分程度と短い時間だったが、人懐っこい島の子どもたちと優しく明るい性格のマーティン氏は打ち解けた様子だった。
レインボーで部長を務める村吉喜衣さん(6年)は「チューバを担当していて、楽譜通り正確に吹くことばかり考えていたけど、スキップさんのアドバイスを聞いて、自分の個性を持って演奏しようと思った」と笑顔を見せた。
マーティン氏はかつて、米国を代表するソウル・グループ「クール&ザ・ギャング」に所属するなど、40年以上のキャリアを誇る。「ダズ・バンド」時代にはグラミー賞を受賞した。
親日家としても知られており、2019年、「美ら島沖縄大使」に国外在住者として初めて認証された。これが縁で、22年には首里城火災の復興歌「SYURI NO UTA(首里のうた)」を歌い、注目を集めた。
記者団の取材に応じ「ここに来れたことを誇る。子どもたちが心から演奏していることに感動した。サポートに感謝する」と語った。(赤松拓実)