国、県、石垣市、竹富町などの関係自治体は25日夜、新石垣空港を使った国民保護の実地確認を行った。台湾有事の懸念が高まる中、国民保護訓練に関する検討会の一環として、島外避難者の空港到着から旅客機に乗り込むまでの手順を確認した。関係機関から避難者役、保安検査要員、視察者など約260人が参加した。
中国による台湾への武力攻撃など「台湾有事」の発生が予測された場合、国は武力攻撃予測事態を認定。国民保護法に従い、住民や観光客など計12万人を先島地域から県外に避難させる。
石垣市では、市民のほか、竹富町民、観光客が住民避難登録センター(中央運動公園屋内練習場)で手続きを完了後にバスに分乗し新石垣空港に到着。民間の旅客機で県外に避難する。
実際の島外避難では、石垣島から1日で1万人以上を退避させる。通常ターミナルビル2階にある保安検査(4レーン)に加え、同1階のJTA・ANAの両カウンタ―前や国際線側に、臨時レーンを設置。計7レーンを確保する。
25日夜の実地確認では、JTA前に臨時レーンを設置。大型バスから降りた避難者役165人が通常2階で行う検査を順次済ませ、終了後に制限エリアまで移動した。
午後9時から始まり、同45分に避難用の旅客機が到着したとのアナウンスが流れた。車いすに乗った避難者役の保安検査は、時間をかけて行われた。
午後9時55分ころ、場内アナウンスでQRカードの読み取りを行うよう指示があり、同10時9分、空港での実地確認の全行程が終了した。
実際の避難では、QRの読み取りを石垣市がセンターでも行う。住民登録・荷物検査の確認時にチェックを受け、住民が島外に避難したか自治体が確認できる。最終的に空港でもQRを読み取り、旅客機に乗り込み、出発する。
昨年度に国や県、先島5市町村が実施した図上訓練の資料によると、新石垣空港では、5から9番スポット(計5カ所)から小型機(165人乗り)、中型機(335人乗り)に避難者が搭乗。JALやJTA、ANA、ソラシドの各エアラインの民航機(計25機)を使用し、1日45便で1万人以上を島外に避難させる。