環境省西表野生生物保護センター=西表島古見=が昨年12月から行っていた改修工事を終え、1日、リニューアルオープンした。展示物をより一層充実させ、イリオモテヤマネコをはじめとする貴重な野生生物の生態を詳しく学ぶことができるようになった。建物内の段差をなくすなど、バリアフリーにも対応した。
センターは1995年、イリオモテヤマネコなど西表島内に生息する貴重な野生動物の保護拠点として設立された。広さは約4200平方㍍で、島内1、2を争う大規模な施設。生物の生態を学べる展示室には、リニューアル前から多くの来館者が訪れていた。
昨年、西表島が世界自然遺産に登録されたことを受け、初めて大規模な改修が決定した。予算は約2億円。
センターの入口には、地元住民や観光客から集まったヤマネコなど動物の発見情報が描かれた巨大なマップを設置。展示室の大部分を「山」、「山奥」、「人里」、「海」コーナーに分け、それぞれの場所に生息する動物のはく製や写真を新たに壁一面に配置した。
天井には、カンムリワシなど鳥類のはく製が飛び交い、展示室全体で西表の多様な環境を視覚的に表現。ヤマネコがマーキングする際にかける尿を再現した匂いをかげる展示も設け、五感で楽しめる展示室になった。多言語にも対応する。
以前から放映していた展示ムービーを作り直し、新たに撮影したものに変更した。
センターに常駐する環境省職員の取り組みをパネルで紹介するコーナーには、島内の道路を再現した運転シミュレーション・ゲームも設置し、ヤマネコの死亡事故回避を目指すゲームを体験できる。
一般公開初日となるこの日は、島内外から多くの来館者が集まった。
東京から何度も西表島を旅行し、その度にセンターを訪れているという田中瑞枝さん(55)=東京都稲城市=は「展示がすごく大きくなったうえ、わかりやすくなった。一回では見終わらないので、何回も見に行きたい」と満足気だった。
自然保護官事務所の福地壮太管理企画官(40)は「西表の自然を肌で体感できるような施設に生まれ変わった。様々な人が訪れることで、環境保護におけるさまざまな課題を、自分ごととしてとらえる機会になってほしい」と期待した。
センターの開館日時は、毎週火曜日から日曜日の午前10時から午後5時(月曜日は休館、祝日の場合は翌平日)。慰霊の日、年末年始も休館する。ただし、職員の新型コロナウイルス感染が判明したため、当面の間は休館する。
6月28日からは西表島の住民限定で、先行公開が行われていた。