新博物館建設に向け、石垣市は10日、有識者などで組織する基本計画策定委員会を発足させる。新博物館の建設場所、規模、建設手法などを盛り込んだ基本計画を来年3月に策定し、新年度以降、具体的な作業を加速させたい考え。西銘基恭・観光文化課長兼博物館建設準備室長は「美術館的な機能も持たせ、観光資源として活用できる施設にしたい」と期待した。
現在の市立八重山博物館は沖縄が日本に復帰した1972年に建設されたが、築50年を経て老朽化と狭隘化が進む。建て替えが長年の課題で、1997年に基本計画、2015年に基本構想が策定されたが、財源のめどが立たず、建設作業は頓挫している。
市は今年4月、観光文化課内に博物館建設準備室を設置。西銘課長が室長を兼任するほか、専任職員1人も配置し、建設計画を仕切り直した。
今年度策定する新たな基本計画は、過去の基本構想、基本計画で示された新博物館像を引き継ぎながら、新空港開港、観光客増など、時代の流れを踏まえて内容をアップデートする。
建設場所に関しては、過去の基本計画でバンナ公園近くの苗畑、旧空港跡地(現市役所周辺)などが示されており、基本計画策定作業の中で具体的に検討する。
多くの観光客にも足を運んでもらうため、展示品の充実を図り、美術館的な機能を加えて収益性を持つ施設とする方針。通常の博物館より施設規模は拡大しそうだ。同様の施設として、県が「県立博物館・美術館」(那覇市)を建設した前例がある。
石垣市出身の元角川書店専務、桃原用昇さん(82)が自ら収集した沖縄の染織作品や、世界的画家・絹谷幸二さんの作品を新博物館建設時に寄贈する意向を示しており、実現すれば新施設の目玉となる。
長年の課題となっている財源に関しては、国、県の補助に加えて民間活力の導入も視野に模索する。
基本計画策定委には博物館業務に詳しい有識者に加え、経済団体代表なども入れ、幅広く意見を聴取する。10数人規模のメンバーになる見込み。年度内に3回程度の会合を予定している。
来年3月の基本計画策定までに、シンポジウムやパブリックコメント(市民意見募集)で一般市民の意見も吸い上げる。西銘室長は「新博物館建設の気運を盛り上げたい」と話した。