問われる県政の体質 自民、米事務所廃止目指す

 県議会が20日、ワシントン駐在問題調査特別委員会(百条委員会)を賛成多数で設置した。この問題は米軍普天間飛行場の辺野古移設に県ぐるみで反対するため、適法性を軽視してまで事務所設置を強行した「オール沖縄」県政の体質を象徴していると見られる。百条委は今後、野党・自民党を中心に、事務所が株式会社として設立された経緯や、責任の所在などを追及する見通し。ただ会社設立から10年近くが経過し、当時の最高責任者である翁長雄志前知事も故人となっている。どこまで実態解明が進むかは不透明だ。

 百条委は地方自治法に基づき強制力のある証人喚問などが可能で、議会の「伝家の宝刀」と呼ばれるほど強力な調査権を持つ。
 自民党は、新年度の事務所関連予算が上程される来年2月定例会を前に実態を解明し、事務所を廃止に追い込むための理論武装を進めたい考えだ。
 百条委設置の動議を提出した仲里全孝氏(自民)は「関係者の答弁が食い違う、過去の答弁との整合性を問われ訂正を繰り返す、といった前代未聞の事態」と問題の重大さを指摘。百条委設置の必要性を力説した。
 百条委設置には、与党だけでなく中立議員からも「唐突だ」(維新の大田守氏)と批判が出た。
 これに対し西銘啓史郎氏(自民)は、自ら委員長を務める総務企画委員会で事務所の初代所長を参考人招致したが、本人が議会に連絡先を明かすことを拒み、連絡が取れていない状態と明らかにした。
 座波一氏(自民)は「総務企画委員会では限界がある」と述べた。
 自民党などはこの問題で監査請求を行ったものの、期限として設定した20日までに監査結果は提出されなかった。仲里氏は、来月から新年度予算編成が大詰めを迎えることを挙げ「(常任委員会の)閉会中審査のみでは、もはや対応できない」と訴えた。
 6月の県議選を受け、議会は野党と玉城デニー県政に批判的な中立が多数を占めた。このため新年度の事務所関連予算は否決される可能性が高まっている。
 ただ玉城県政や与党は、米軍基地の過重負担を米国内で訴えるには欠かせない組織として存続を求める。自民が百条委で、県民に廃止を納得させるだけの違法性、悪質性をあぶり出せるのかも問われる。

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