老後に「生きがい」83% 経済状況は全国より厳しく 県が初の高齢者アンケート

 沖縄県が県内60歳以上の高齢者を対象に初めて実施した生活状況調査アンケートで「生きがいを感じている」と答えた人は約83%となり、全国平均の約76%より高いことが分かった。一方、家計に不安を感じず暮らせている割合は全国平均より低く、経済的に厳しい高齢者が多いことをうかがわせている。県が20日、アンケート結果を公表した。

 調査は2024年11月、県内在住の60歳以上の高齢者4千人を対象に郵送とオンラインで実施し、2377件(59・4%)の回答を得た。
 生きがいを「十分感じている」「多少感じている」と答えた人は沖縄82・7%、全国76・3%で、沖縄の割合が高い。生きがいを感じるときは「孫や家族との団らん」「友人や知人と食事や雑談」などの順で多く、県は「人との交流が高齢者の生きがいと強く結びついている」と指摘している。
 暮らしの経済的不安は「心配ない」が59・5%で、全国の67・7%を下回った。1カ月当たりの世帯収入平均額は25万円未満の層の割合が全国より高く、困窮感は実際の経済状況を反映していると見られる。
 健康状態は、世帯収入が低い層で「あまり良くない」「良くない」と回答する割合が高い一方、世帯収入が高い層では逆の傾向になっており、世帯収入と健康状態には相関関係があることも判明した。
 栄養状態の差が背景にあると見られ、食事の状況は、世帯収入が高いほど肉、魚、野菜、果物などの摂取頻度が高く、噛む能力も高かった。
 外出頻度は高齢者の9割以上が週1回以上あり、ほとんど毎日外出する高齢者の移動手段は「自分で運転する自動車」が82・3%に達した。「徒歩」は38・9%、バスは9・7%、モノレールは9・0%だった。高齢者の免許返納を見据えた外出支援が今後の課題になる。
 今後の暮らしは「転居したくない」が83・4%。身体が弱ってきた場合の暮らし方は「現在の住居で居宅介護サービスを受けながら暮らし続ける」が53・3%、「介護保険で入所できる施設(特別養護老人ホーム等)に入所する」が45・0%などとなり、過半数が自宅での暮らし継続を希望した。
 行政には住み慣れた地域で暮らし続ける仕組みづくりが求められる。
 調査は対象から施設入所者は除き、内閣府の全国調査と比較する際は、65歳以上のデータで結果を集計した。

関連記事

八重山日報公式 X(Twitter)

フォローする

ユーグレナ シルバー人材センター たびらいレンタカー ひとし眼科 嶺井第一病院 アイン薬局
ページ上部へ戻る