【視点】辺野古移設、空論に近い県主張

 辺野古移設も紛れもなく基地負担軽減の一歩であり、負担軽減と移設阻止を同時に唱えることは、結局のところ矛盾である。辺野古移設に反対しながら、同じ「県内移設」である那覇軍港の浦添移設を容認するダブルスタンダードも、県答弁の説得力を弱めている。
 県当局と又吉氏の間では、注目すべきやり取りもあった。辺野古に建設されるのは「新基地」か「普天間飛行場の代替施設」という議論である。
 県や基地反対派は、移設を「新基地建設」と呼ぶ。理由として①普天間飛行場にはない護岸が建設される②強襲揚陸艦も接岸できる③弾薬庫が設置される④V字型の滑走路が新設される―ことを挙げ、基地の機能強化だとして「単純な普天間の代替施設ではない」(池田竹州知事公室長)と主張している。
 移設が海域の埋め立てを伴う以上、護岸の設置は当たり前だが、又吉氏は①強襲揚陸艦には災害時の救助機能もある②弾薬庫を造るのは、一般道を通って基地に弾薬を搬送するのが危険だから③V字型滑走路は離着陸が天候に左右されにくく、軍用機が住宅上空を通過することもほぼなくなる―と反論。「基地の機能強化」と宣伝されるものが、実際には県民の基地負担軽減に役立つことを強調した。「新基地ではない。代替施設だ」と述べた。
 将来、日本の安全保障環境が好転し、基地が不要になれば「基地を返してもらえればいい。発想を変えよう。ただ『阻止する』だけでなく、宜野湾市民の気持ちも考えてほしい」とも呼び掛けた。普天間返還合意から今年で20年が経過。宜野湾市民である又吉氏の「20年も同じ議論をしていることが悲しい」という言葉は重い。

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