県は29日、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設を巡り、県による埋め立て承認撤回の効力を、石井啓一国土交通相が停止した決定を不服として、第三者機関「国地方係争処理委員会」へ審査を申し出る文書を発送した。
撤回の効力停止は、工事主体の防衛省沖縄防衛局が行政不服審査法に基づき申し立て、10月30日に国交相が認める決定をした。
玉城デニー知事は申し出の理由について県庁で記者団に「国交相は内閣の一員で新基地建設を推進する立場にあり、停止を判断する地位にはない。著しい地位の乱用で違法だ」と説明した。
係争処理委に対しては「中立、公正な審査をお願いしたい」とし、機会があれば自ら委員会で意見陳述したいとの考えも明かした。菅義偉官房長官は29日の記者会見で、同委員会の判断を見守る意向を示した。
係争処理委について定める地方自治法は「不服申し立てに対する決定」を、審査の対象外と規定している。申し出は却下される可能性が高く、その場合に県は撤回の効力回復を求め高裁へ提訴することも検討している。
12月中旬に辺野古沿岸部に土砂を投入するとの政府の方針について「(政府との)対話で何らかのいい結果に導いていけると思っていたが、非常に残念だ」と述べた。
一方、謝花喜一郎副知事は、28日に杉田和博官房副長官と辺野古移設を巡って協議した際に、埋め立てに使われる土砂の県内での採取などへ規制を強化するため「県土保全条例」の改正を検討していると伝えたことを明らかにした。謝花氏は記者団に「さまざまな手法を駆使して既存の知事権限以外についても検討していく」と強調した。