内閣官房領土・主権対策企画調整室の豊田欣吾室長が14日午後、市民会館で開かれた「尖閣諸島開拓の日」式典(市主催)で講演した。豊田室長は「我が国の領土・主権問題への取組みについて」と題し、昨年1月25日に開設された「領土・主権展示館」=東京都千代田区=の今後について、同館の移転・拡充や展示内容の充実、関係自治体との連携強化を図ると強調した。
講演では、領土・主権をめぐる問題の解決に向け、外交に対する強い後押しが必要とし、➀国民世論の盛り上がり、➁国際社会からの理解、➂日本の立場の説明に役立つ調査・研究事業の推進という、3つの要素が不可欠との前提を示した。
「国民世論の啓発推進と国際社会からの理解の醸成」として、学習指導要領の改訂により、領土・主権に関する記述内容の充実が図られ、昨年度から順次実施されていること。国内シンクタンクと連携して国際シンポジウムがフランス・パリやスイス・ジュネーブなどで実施したことを報告した。
また、福建省の遭難漁民を日本人が救助したことで1920年に中華民国から贈られた「感謝状」(漁民漂着の場所を「日本帝国沖縄県八重山郡尖閣諸島」と明記)が石垣市立八重山博物館で保存されていることを挙げ、地方自治体の関係機関と緊密な連携をして、領土・主権への啓発活動や資料の収集・保全、その活用の重要性を述べた。
同館の今後については、▽2020年3月末までの展示館の移転と拡充▽これまでの調査・研究事業により蓄積された資料を用いた展示内容の充実▽関係府省庁、関係自治体と緊密に連携し、内外発信を強化することの必要性―を強調した。
同館には1年間で7600余の来館者があったが、その多くは首都圏とその周辺からの人だという。同館ホームページの「デジタル展示館」をクリックすれば、展示内容が閲覧できる。