米空軍が救難訓練 伊野田漁港「災害に備え」

米軍兵士が救助訓練を実施=15日、伊野田漁港

 沖縄本島の嘉手納基地に所属する米空軍の隊員約20人が15日、伊野田漁港で救難訓練を行った。米空軍の第320特殊戦術飛行隊と第31救難飛行隊に所属し、特殊部隊の隊員も含まれる。救難艇を使った沖合での人命救助訓練と、溺水者を引き上げて治療する訓練を実施した。米軍が市内の漁港を使い訓練を行うのは今回が初めて。

 米軍による伊野田漁港の施設利用は、市民が先月24日に市に申請。漁業者と共に救難訓練を行うとして、港湾内にプレハブ小屋1棟を設置し、漁船1艇、ゴムボート3隻を係留した。今月7日から月末まで使用するという内容。今月3日付で水産課の新城保一課長が決裁し、市長職務代理者の知念永一郎副市長に報告した。
 米側は12日ごろにボートを島内に搬入。14日には輸送機が石垣空港に着陸。訓練に使うと見られる車両などを搬入した。実際に訓練で港湾を使用するのは1週間程度と見られる。
 15日は午前11時ごろから訓練が始まった。
 漁港内には、救難用のボート2艇が係留されており、赤いTシャツを着た隊員たち数人は、このうち1艇に乗り込み、11時半ごろに出港。
 続いて、別のグループのうち3人が係留したボートから港湾内に飛び込み、1人を溺水者と仮定した救助訓練を開始。2人が海中で担架を溺水者に固定。ボートにいる別の隊員と協力して引き上げ、プレハブ小屋に搬送した。
 小屋の中では心電図などが準備され、医官による治療を開始。骨折や裂傷を想定し、実際にギブスで固定や保護シートを使った処置を行った。
 広報官は不在だったが、取材に応じた隊員は「嘉手納基地から来た。台風や地震、他の災害に備えるための訓練」と説明。上官が不在であるため、詳細は答えなかった。
 戦場に投入され、救助が必要な人員の回収や治療を行う高度な技術を持った隊員も、今回の訓練に参加したと見られる。
 漁港を訪れた井上美智子市議(共産)は「救助とごまかすが、軍事訓練だ」と非難した。

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