【視点】県民投票過熱、懸念が現実に

 「辺野古米軍基地建設のための埋め立て」を問う県民投票があす24日に迫ったが、米軍普天間飛行場の辺野古移設に対するネガティブな情報が県や基地反対派から次々と発信されている。中には「フェイクニュース」や印象操作ではないかと思われるものもある。辺野古移設を容認する自民党が静観する中、反対派の運動が一方的に過熱する状況は告示前から予想されていたが、懸念が現実になったようだ。
 県は20日、国土交通省に提出した意見書で、移設工事が実施される大浦湾に軟弱地盤が存在することを挙げ「新基地を建設することによって、普天間飛行場に駐留している部隊の移駐をさせようとするのであれば、非常に長い年数を要する」「辺野古新基地建設に固執をするということは、普天間飛行場の事実上の固定化にほかならない」と主張した。
 地盤改良工事などの影響で総事業費が最大2兆5500億円に上るとした独自試算を公表しており、工期は13年かかるとの見通しも示している。
 一方、菅義偉官房長官は21日の記者会見で、地盤改良工事について「一般的な工法によって相応の期間で工事を実施することは可能だ」と述べた。県の独自試算に対しても、岩谷毅防衛相は「当初の見込み額約2400億円を機械的に10倍して出した試算。そこまでは掛らない」と否定した。
 地盤改良工事には新たなコストを要するはずだし、工期が一定程度延びる可能性はある。しかし政府の答弁を聞く限りでは、辺野古移設に反対するあまり、県が工事の困難さをヒステリックに強調している印象は否めない。
 普天間飛行場の危険性を確実に除去する唯一の選択肢は現時点で辺野古移設しかない。仮に大規模な予算や長期の工事が必要になるとしても、宜野湾市民の生命と安全には代えられないのではないか。県は「基地の県内移設は負担軽減にならない」という反基地イデオロギーにとらわれ、宜野湾市民を保護する責務を放棄しているとしか思えない。
 しかも玉城デニー知事は、地盤改良工事のための設計変更を認めない考えを示している。今月18日で普天間飛行場の当初の運用停止期限が経過したが、自ら移設を妨害しておきながら、普天間返還が遅れている責任を政府に転嫁しようとする言動は理解し難い。
 最近は「辺野古移設工事が完成しても、普天間飛行場は返還されない」という移設反対派の言説も飛び交っている。緊急時の民間空港使用などの返還条件が満たされる必要があるとする稲田朋美元防衛相の国会答弁が独り歩きしているためだ。普天間が返還されないなら、政府は何のために移設工事を進めているのか。反対派の論理は飛躍している。
 容認派が説明責任を放棄してしまったとはいえ、県民投票を前に、県内は辺野古移設に対するネガティブキャンペーン一色に塗りつぶされている感がある。こうした状況下、県民が冷静さを保ち続けるのは、なかなか難しいのではないか。

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