「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案に対し、県内の基地反対派から「基地反対運動も取り締まりの対象になる」などと批判の声が出ているが、的外れと言えよう◆民主主義社会で、基地反対を訴える権利も最大限尊重されるべきなのは当然だ。しかし辺野古のように、基地の移設工事を妨害するため座り込む行為となると、これを表現の自由の範囲内と呼べるか、限りなくグレーゾーンだ。往来する車や座り込む当人たちを危険にさらす行為だからだ◆しかし警察は、恐らく表現の自由を尊重する観点から、座り込みそのものは検挙対象にしておらず、権力の行使はかなり抑制的だ。グレーゾーンの行為に警察がどう対応するかは、選挙によって選ばれる時の政権が最終的に判断し、テロ等準備罪の新設とは関係ない◆基地反対運動がエスカレートし、現場で何らかの破壊活動が計画される事態になれば、同罪で共謀者が摘発される可能性はあるかも知れない。だが、そのような反対運動はそもそも法的保護には値しない◆先日、辺野古で開かれた反対派集会の決議文では、基地に反対する県民全員が「共謀罪」の対象になるかもしれないとなどという荒唐無稽な文言も盛り込まれた。このような冷静さを置き忘れた議論こそ戦前回帰の道だろう。